学園BASARA
□番外編
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『神宮寺殿、神宮寺殿ではござらぬか!』
移動教室の帰り、二年の廊下を歩いていると後ろから声をかけられた
振り返れば毎日伊達政宗とグラウンドの所有権を争ってる真田幸村が満面の笑みで手を振っていた
走って私の元まで来ると、元気良く話し出す
何この子犬可愛い、お持ち帰りしちゃってもいいですか
『某、先日の貴殿の放送を聞いて非常に勉強になり申した、感謝致します!』
はて、この前の放送で勉強になるような事言ったかな
アイスクリームには賞味期限が無いってやつかな
それとも菓子パンの中で唯一保存料が使われていないパンってやつかな
まぁ何でもいいや
しばらく目の前で元気に話していた真田君が急に黙る
何かと思って見ていると、静かに目を閉じて鼻をフンフンを鳴らす
『なにやら神宮寺殿から甘い香りが…』
お前は犬か!
確かにさっき風魔君からもらったお菓子がポケットの中に入ってるけど、ちゃんと個別包装で密封されてるはずなのになんでバレたしッ!?
『あっ、うん、お菓子持ってるんだけど食べる?』
『そそそ某にですか!あああありがたく頂戴仕る!』
風魔君からもらった有名店のお菓子を一つ手渡すと、おおおおおと言いながら両手で掲げる真田君
お菓子一つに大袈裟な、どこに奉納するつもりですか
『ありがたき幸せ!この御恩一生忘れませんぞ!あぁ何かお礼を…そうだ!』
お菓子一つを一生忘れないとかオーバー過ぎるにも程があるだろって思ってたら、ポケットから何かの引換券らしき物を私に差し出した
『無料引換券?あっ!ここのケーキってとっても美味しいって有名なんだよね!』
『ご存知でしたか!さすが神宮寺殿!某は最近部活動が忙しくて使用期限内には行けそうにないので、代わりに使って頂けると助か…』
『使う使う!全然使う!余裕で使うよ!ありがとう真田君ッ!』
ここの店の焼き菓子を雑賀先生にもらったことがあって、それからこの店の大ファンになった
暇と金さえあれば毎日通ってもいいくらい美味しいお菓子が売っているお店
まさか真田君がその店の無料引換券をくれるだなんて、私はなんてラッキーなんだ
しかも二枚!
ありがとう真田君、大好きだよ真田君
気付けば私は興奮して真田君の両肩をバンバン叩いていた
『ありがとう真田君!ありがたく使わせて頂くわ!』
『い、いえ!こちらこそ!』
野球部なんかにグラウンド取られないように頑張ってね、と言い残し、私は上機嫌で階段を上った
ポツンと廊下に残された真田君はもらったお菓子を手に、顔を真っ赤にしてボーッとしていた所を伊達政宗に蹴られて我を取り戻したのであった