逆月

□第五章
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 『っぅ・・・・・・』



つん、と医薬品のにおいで目を覚ました。

あれからどうなったんだ?と必死で思い出そうとするも、不可能だった。



『なんでこいつがここに・・・・』



隣を見ると、壁にもたれかかってるアリサがいた。

当然彼女は寝ていた。


『・・・そういうことか』



思い出した。こいつを私がかばったんだ。

あの時なぜこいつをかばったのかわからない。自然と体が動いていた。


「んっ・・・・・」


アリサが、起きた。


彼女は眠そうに目をこすりながら、私の姿を見た。


「あ、あれっ?いっいつ起きましたっ?私寝て――『お前、いつからここにいた』


アリサは私をしっかりと見やり、考え込んだ。


「・・・・・いつからでもいいでしょう!・・・あなたがこんな目にあったのも私の所為なんですからっ!」



ぷいっと顔をそむける。



『ほぉ、』



私は彼女をにらみつけた。なんとなく、彼女が気に入らなかったから。


沈黙が続く中、ぷしゅんという音が部屋に響いた。


「いやー大丈夫かい?」


『けっ、どうせわかってるくせによ』


「いやいや、本当に君を心配しているよ。なんせ君は、一週間も昏睡状態だったんだから」


一週間・・・だと?


私はそんな長い間、このベッドで寝かされていたというのか・・・?


何もせずにただじっと・・・・



『ちっ・・・・無理にでも起こせばいいものの』



「・・・・・僕がそんなことするとでも思うかい?」



くすくすと博士は笑った。


くそ・・・ムカつく。


「さ、君はもう部屋に帰って休むといいよ。体のほうも限界に近づいているだろう」



「・・・・・お言葉に甘えさせていただきます」



アリサは出て行った。眠たそうな目をこすりながら。


「あの子は君が昏睡状態の間、ずっと君を看病していてくれたんだよ」


『・・・・・・・』


「朝から晩まで、ね」


ちゃんとお礼を言うんだよ、と博士は出て行った。


『お礼、か』
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