十五夜

□5の奇跡
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今日は六日目。黒子が言っていた勝負が明日へとなった。



私はあれから彼らの練習場をのぞいていない。


ちょくちょく話をすることもあったが、そうたいしたものではなかった。まぁ、さつきとはずいぶん話したが。



あれから、さつきとは親友とも呼べる関係に近い存在になった。私だけかもしれないが。



ちなみに今私が今いる場所は体育館。



私しかいない。静かな。



『・・・・バスケ、かぁ』



バスケをやめてから半年。


長かったような、短かったような、そんな感じ。





『彼らを、信じてみよう。』


私は、まず信じることから始めなくてはならない。


何に関してもそうだ。私は何もかも信じることができない。



だから大一歩として、彼らを信じる必要がある。






『なぜか、明日が楽しみだ。なんなんだろうな、この気持ち。』



バスケがやりたい。急にそんな感情に襲われた。



バスケをやめたはずなのに。彼らが私を本気にしてくれるまでやらないと誓ったのに。



なぜか体が、バスケを求めてしまう。



『・・・ちょっだけ。ちょっとだけなら――「そこで何を?」』


急に話かけられた。女子軍団に。きっと女子バスケ部だろう。


『(そうだ)・・・・ちょっとだけでいい。俺とワンオンワンしてくれねぇか?』


「きゅ、急に・・・・」


『一番強いやつだせ』


半ば強引に部長を引きづり出す。


「・・・・そこまでいうのなら、あなた強いんでしょうね?」


『まぁ、あなたよりは』


「なっ!」


相手は三年の部長。結構強いらしい。


だからと言って、私にかなうはずがないが。


「・・・あなたが私に負けたらっ!・・・公の場で私にどけ座してもらうわよ?」



どうやらここのバスケ部の部長はハードなことがお好きならしい。なんで私がそこまでしないといけないのか。


まぁ、それをやる日は永遠に来ないと思うが。


『いいぜ?なんでもしてやるよ。その代り、俺がお前に勝ったら、おんなじことしろよ』



「・・・っ、まず私が勝って、あなたのその口調、直してやるわ。」


『勝ってから言ってください』


ボールは相手の部長さんからにした。


ちょっとしたハンデのつもり。向こうがかわいそうだから。



『ここで負けたら、部長として終わりだぜ?』


今体育館には、女バス軍団が多々いる。その目の前で負けたりしたら、大恥だ。


まぁ、向こうは勝つきまんまんだが。


「はじめ!」



挨拶を交わし、ワンオンワンが始まった。
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