十五夜
□8の奇跡
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「おーい名無しさんー」
『ん、光輝か・・・・ふぁ』
ただ今授業さぼり中。
『・・・お前がここに来たってことは、もう昼か?』
「あったりー!みんなでご飯にしようぜ?」
『腹減ってない。俺は寝る』
「またまたー。遠慮すんなって。弁当持ってきてくれたんだぞ?テツヤが」
「こんにちは。」
テツヤが光輝の後ろから顔を出す。
身長差があるため、ちらちらとしか見えない。
『ちょ、待てテツヤ。それは私のバックを勝手にあさったってことか?』
「まぁ、そういうことになりますね」
はぁぁあ。ふつう許可なしに鞄の中身あさるか?
まぁたいしたものは入っていないが。
「そのうちみんなくるしよ」
『・・・・・まさか』
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『まさかだった・・・・・』
私は今、バスケ部と一緒にランチをしている。
くっそ・・・・私の睡眠時間削りやがって・・・・
「うわー名無し機嫌わるそー」
「当たり前じゃないか。俺が無理やり誘ったんだから」
『死ね光輝・・・・轢くぞ光輝・・・』
「本当に怒ってる・・・・」
私は口の端から愚痴をこぼしながらも、弁当に手を付ける。
「お、うま」
『おい大輝。勝手に俺の弁当を持ってくな』
「うめぇなこれ。おまえんちのかぁちゃん料理上手なんだな」
・・・・こいつは私と言葉のキャッチボールができないらしい。
「ふぉれ、ふぇふふり(それ、手作り)」
『日本語が話せなくなったか・・・・かわいそうに』
「―ゴクッ―ちゃうわっ!日本語しゃべれるわボケッ!」
『おい、誰がボケだと?それとお前は口にものを入れたまま話すなといつも言っていただろう!』
「ごめんって!だいたい俺に厳しくねぇ!?」
『死ね』
「文脈がおかしい!!」
光輝は膝に顔をうずめてめそめそと泣き出した。気持ち悪。
「にしてもホンッとお前料理美味いんだな」
『片腹痛いわ』
「なんでだよ!」
大輝がパクパクと私の弁当を平らげていく。
それも、とても美味しそうに。
「ごっそさん」
大輝はそういうと、パン、と手を合わせた。
『何がごっそさんだァァァァアアァ!!』
「マゴフッ!」
『お、俺の昼飯・・・!』
わなわなとふるえる。弁当箱に目をやると、米粒ひとつとして残っていなかった。
『バカやろー・・・・・』
光輝同様、私も膝を抱えうずくまる。
「え、あ・・・ごめん」
大輝が私の肩に手を置いた。
「マジでごめ―――――」
『バカめ!!私が昼飯とられたくらいで気を落とす女だと思ったかバーカバーカ!!!』
「んのやろごらぁぁぁぁああ!!!」
私と大輝でバトルを始める。その光景を征十郎たちは黙ってみてた。
「本当に仲いー」
「確かにそれは認めますけど・・・・名無しさんさんは青峰君に絶対渡しません」
全「(こわっ)」