暦月
□I can do it!
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『ンぶ…ッ、ゲホッ、ゲホッ…おぉぇ…ッ!!』
次の日の朝。私は昨日の夜、まともに食事がのどを通らず、そのまま寝てしまった。
ちょうどさっき起きて、シャワーを浴び、支度をしようとしたら、吐き気がし、吐いてしまった。
『ンッ…はぁ…!はぁっ…ぅ、ゲホッ』
止まらない嘔吐物。まだ学校へ行く支度が終わっていないというのに。
どうしよう。今日は遅刻かな。
―ピンポーン―
『だ…っ、誰…ゲホッ、おぇ…っ』
いきなりなったインターホン。今はしんどくて出られたもんじゃない。
そこで私は居留守を使おうとした。
だけど、
―ピンポーンピンピンポーンピンポーン―
『ダラァァァァァアッ!っるっせぇな!』
私は荒々しく口元を拭き、玄関のドアを開けた。
と、同時にしめた。
「あっこら!なんでしめんだよ名無しさん!!」
『夢だ夢だ夢だ夢だ…』
「暗示をかけるなァッ!!」
嘘であろう。っていうか嘘であれ。
何で私の家の前に桜木軍団がいるんだ。
『…要件は何』
「おはよ名無しさん。折角同じ高校だし一緒に学校に行かねぇかって話になってな。…ていうかお前顔色悪ィけど大丈夫か?」
『あぁ…だ、大丈夫だよ。なんでもない。』
「そうか…っていうか、お前まだパジャマ?早く着替えろよ」
『そ、だね。ってちょっと待ってて…っておいデブ。何勝手に家の中入ってんだ』
「バナナバナナ…お、もらうぜー」
『はぁ…水戸たちも入れば?そのあいだ用意しちゃうし』
私は桜木軍団を中に入れ、支度を始めた。
『急いで私洗面所で着替えてきちゃうけど…除くなよ?特にデブ』
「のぞかねぇーよ。2%の確立に誓って。」
『ならその2%に忠実に誓えよ。って…まぁいいや…着替えよ』
私はハンガーにかけてあった制服を手に持ち、洗面所へ向かった。
「いやーあいつも大きくなって…うんうん」
「高宮何言ってんだお前気持ち悪ぃぞ」
「実際除くとすげぇんだ。なんてーかこう…大人の女性に…」
「意味分かんねーよ」
高宮が「なんかこう…」と言いながら手振りをする。
それを見て野間と大楠が笑った。
「にしても…あいつ顔色悪かったけど大丈夫か?」
「む…?そうか?いつもあんな感じだぞ名無しさんは」
「そうか…?俺の気のせいか…?」
顎に手をつき、水戸は悩む。
すると、
―バンッ!―
粗々しくドアを開ける音が部屋全体に響いた。
桜木軍団全員は洗面所に目をやった。
全「ッ…//////!?」
そして、全員顔を赤くした。
『ッ……!!』
名無しさんがワイシャツ(ボタン全開)で、下はブラとパンツだけだったからで出てきたから。
『ゥッ…』
「…?」
名無しさんは苦しそうに口元を手で押さえ、トイレへ直行した。
―バタンッ―
またも粗々しくドアが閉まる。桜木軍団は何事かと思い呆然としていた。
「名無しさん…?」
水戸が声を発す。だが名無しさんの返答はない。
『ぅ…はぁ…はぁ…ンッ、ゲホッ、ぉえ…』
「…!まさか…!!」
水戸がいち早く動いた。水戸はトイレのドアを強引に開けた。
「っ、やっぱり…!おい、大丈夫か?!」
『ゲホッ、ゲホッ…!だ…大丈夫…ンェッ…』
「無理すんなって!」
水戸は優しく名無しさんの背中をさすった。
それでも、##NAMW1##の顔色は変わらなかった。
「名無しさん、大丈夫か?水持ってきたぞ!」
『ぅあ…ありがと…ゲホ…』
髪で口元を拭き、桜木が持ってきた水を一口飲む。
『はぁッ…はぁ…は…』
「ろくに息すらつけてないじゃないか!学校は休んだほうが…」
『だ…大丈夫、大丈夫だから。桜木』
ね?と言って名無しさんは笑った。
桜木は何か言いたげだったが、名無しさんの笑顔を見て何も言えず黙った。
『ごめん……すぐ、用意…するから…ぅ』
「無理すんなって!」
『大丈夫…もう治ったから』
さっきと同じ笑みを水戸にも向ける。
「…わかったよ…って…お前」
水戸が名無しさんを見た後顔を赤くした。
『…え?…あ』
名無しさんは自分の姿を見て、驚きもせず、騒ぎもしなかった。
『あ…ごめん…変なもの、見せちゃったね…すぐ…支度するから』
名無しさんはおぼついた足でフラフラと立ち上がり、洗面所へ向かった。
「大丈夫か…?あいつ」
そういう水戸の顔は不安げにして赤かった。