新月
□八
1ページ/1ページ
「うわあぁあぁぁあぁんッ!!」
こんにちは・・・って挨拶してる暇じゃないんです!
追いかけられてます。幽霊に。
「アアアアアアアアッ!!!」
「いぎやあああ!!」
叫んでる暇も無い。足がはやい。
と、行ってもあちらには足は無いが。
「だっ誰か助けて!!!」
誰でもいいから!味方なら(泣)
「死ぬぅうううう!!」
―ベタベタベタベタベタベタッ!!!―
下半身、目、爪、舌、歯、唇、頭部皮膚、さらには指が何箇所かない。
幽霊は手だけで私を追い駆けてくる。
胴体から離れた下半身までもが。
「アナタアシクダサイィィイイ!!」
「もっ駄目ッ!!」
髪を掴まれた。目の前には、どろどろに解けた皮膚、所どころない、まったく持って人間の要素が見当たらない顔があった。
「うっ・・・ぃや・・・!」
「ツカマァエタァアア・・・!」
「離・・・・し、てぇええ・・・・」
目からは何粒もの涙。
ああ、私死んじゃうの?
なんて考えていた私の下半身に激痛。
「痛ッ・・・だア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ!!」
ぎちぎちと腰を引っ張られる。
今までに経験したことの無い痛みに、カラダ自身が悲鳴をあげていた。
「っつあぁあ!!ウ゛アアアア!」
本当に下半身がちぎれる。
―ミチッ―
「え・・・・?」
カラダのどこかが切れた音。
喉の奥からは、鉄の味した赤い液体。
―ブチッ!ブチブチッ!―
「ア゛ァ゛・・・・」
意識が朦朧とする。
うっすらと見えるさっきの顔は、まるで楽しんでいるように見えた。
「ッ!?##NAME3##?!」
「!本当ですか?!」
「せん・・・ぱ・・・・」
私の意識は幕を下ろした。