新月
□九
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「一体これは・・・・」
一方柳蓮二は、暗闇の中、探索していた。
「・・・面白いデータだ」
がさ、とノートとペンを探す、が生憎今は持っていなかった。
残念だ、と柳はつぶやいた。
「ネェ、アレ、ヒトォォオ??」
「ア゛、イ゛ドダァァ゛ガァァァ・・・!!」
「何・・・・?」
ふと後ろを向くと、今まで居なかったものが、いた。
これにはさすがに驚いた柳は、本能のまま、走り出した。
「何なんだ・・・・アレは」
自分のデータに無い、アレ。
俺達が居る世界では、あんなもの、居るはずが無い。
そんなものが、ここに居る。
やはり、この場所は、普通の世界ではない、と感じた。
「とりあえずは・・・・逃げるしかなさそうだ」
「・・・・・」
シンと静まり返る中、柳一人が心臓を鳴らしていた。
「・・・・・・」
1か8かの勝負。
いつもはデータに頼る柳だが、データに無いものをデータに頼る、そんなものは無理だ。
抵抗が限られている中、唯一の方法は、隠れてやり過ごすしかなかった。
「・・・・行ったか」
何とかやり過ごした柳は、教卓の中から出て、周りを見回した。
「な、んだこれは・・・・」
黒板に書いてある文字。
さっきまでは無かった文字。
「一体・・・・・」
生きることは許されない
ただ死を待つのみ
生臭い。これは、血だろうか。
べっとりと黒板に書かれたいびつな文字。
百歩譲っても綺麗とはいえない自が、余計雰囲気を出していた。
悪寒が走ったとき、
「む、その声は蓮二か?」
「弦一郎か・・・・」
真田が空気を読まず乱入。われに返った柳は、この教室から出ようとした。
−ビシッ−
「なっ・・・」
「蓮二・・・!?」
柳のカラダが、誰かに抱きしめられているような感覚に陥った。
「ちっ・・・・」
「今助けるぞォォ蓮二ィィ!!!!」
「緊迫感がうせてく・・・・」
柳を縛る力は次第につよくなり、息ができなくなった柳は、その場に倒れこんだ。
(死ぬのか・・・・?)
柳の意識は、とんだ。