三日月

□四球目
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『な・・・んで・・?』


部室が荒らされた。


それも、最悪な状態。


一体誰が・・・・・



『一体――――っ!!!?』


私の言葉は続かなかった。



突然、丸井に、後頭部を殴られたから。



『っ・・・』


吹っ飛んだ私はそのまま壁に叩きつけられた。



「お前だろう、部室を荒らしたのは」



『柳・・・証拠は?』


「名無しが血相を変えて言いに来た。



ふふ・・笑える。アホ過ぎて。



『・・・名無しさんは泣いていたでしょうね』



「ああ、お前の所為でな」



柳は私を凄い顔で私をにらみつける。


まぁ。怖くないけどね。



「柳、コイツには言葉だけじゃわからないよ」


「それもそうだな」




また、暴力。するとぞろぞろと人がやってきた。



「ひどいぜぃ名無しさん。俺のユニフォームを・・・・!!」


赤「お前なんかしねっ!!」



全員、私に飛び掛ってきた。



腕にお腹に、足に…鍛えられた足腰、腕で私を痛めつける。



「考え事か・・・?余裕だな」



『べ・・・つに?あんた達に殴られ蹴られじゃ、私には利かないわよ?』



「だそうです幸村クン」



「俺、ばっちりきいちゃったぁ」


それからもっと激しくなる一方。



私はある人がいないことに気がついた。




『(あれ・・・?ジャッカルと弦一郎と雅治は?)』



なぜかあの3人がいない。



ジャッカルは昨日この面子の中にいたはず。



雅治と弦一郎は・・・・昨日もいなかったっけ・・


まぁ、今となってはどうでもいいけど。




「ほら。謝りなよ。私が部室を荒らした張本人ですって」



『だれが・・・・言うもんか・・・』

私は幸村に向かって睨む。が、彼には効かなかった。

赤「あんたの所為でテニス部がぐちゃぐちゃじゃなねえか!!」



『かはっ・・・・』

綺麗に背中にヒットした。

やばい、今の攻撃は来た。



昨日やられてた場所だ・・・。



さっき赤也が言っていたこと…心に来た。


何で?私何もしていないのに…


『ゲホッ…早く練習戻れば?そんなに屑と遊びたい?』


挑発をすれば彼らは私の前から去って行った。



『はぁ・・・やっと終わった。さぁて・・・どこから整理すればいいのかな』



よし、手辺りしだい片付けていこう。



それが一番。



すると・・・・



「クスクス・・・見事にやられちゃいましたね・・・・先輩」


『別に・・・・あのくらい、痛くも痒くもないわよ?試してみる?』


「・・・やったら先輩今よりもっとひどい目にあいますよ?」


『クス、そうね』


きっとあいつは、心の中で私のことを惨めだとでも思っているのだろう。



私には関係ない、のだから。




「じゃあ先輩、これからもお願いします!あとドリンクお願いします!」



にやっ、と笑うと、あいつは外に出て行った。
ルンルンとスキップしている姿は私への嫌味だと察した。


私が仕事全部やれと。まぁいいや。
あいつ等に会わなくてすむし。










『…ただ今』



8時。やっと家に帰ってこれた。


あれから私はまたリンチにあった。

何が楽しくてそうするのか理解不可能。


私は誰もいない真っ暗な部屋で、風呂場へ向かった。


服を脱ぎ棄てる。すると、彼らに痛めつけられた跡が体中に残っている。

痛々しい傷跡。人はどれだけあざができるんだろうとか考えてしまう。


さっとシャワーを浴び、寝間着に着替える。


髪の毛を乾かし、ぼふっとベットに入る。


あぁ…これから毎日…あんな思いで過ごすのか…

気が重い。体が重い。食事をする気にもなれない。


『…一人。ぼっち。フフフ、あははは』


壊れたように繰り返す。もう私は前の私とは違う。


そうだよ、裏切られたんだったら…


裏切ればいい。


同情の余地なんてない…そう、私の復讐劇。

『はっはははは…!!あはは…』


流れる涙。あぁ、人を憎むってこんなにも苦しいのか。


でも、それでも彼らは許せないから。


絶対に。許さない。


『待っててね…、みんな』


今すぐ退屈しないストーリーを作るから。

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