三日月
□七球目
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【くるな化け物!!】
【ねぇ?早く殺しちゃいましょうよぉ?】
【災いをもたらすものは皆ころせぇぇ!!】
『っはぁ・・・!!』
朝日が昇り始めたころ、私は悪夢で飛び起きた。
かなりの夢だっため、冷や汗がかなり出ていた。
『・・・くっそ』
まさか、幼少の頃の夢を見るとは思いもしなかった。
『・・・・災いをもたらすもの、か』
−パアアアアアアアン!!―
『っ・・・』
柳生「なんで叩かれたか、分かりますか?」
『さぁね、見当もつかないわ』
がやがやと騒がしい朝の廊下。
朝から柳生に絡まれた。
こいつが私をたたいても誰も何も言わない。
だって、それが普通になっているから。
それに、
きっと名無しのこと絡みだろうけど。
柳生「もう名無しがかわいそすぎます。私達もアナタをいじめたくないんです」
『はっ、そんなこと言えた口か?似非紳士』
―ガンッ―
「侮辱されるのは、私も我慢なりません」
なら侮辱されるようなことするなよ、と喉の先端まで来ていた言葉を丸めて飲み込んだ。
『・・・私のことが大嫌いなのに、朝から私にかまうのね。本当、矛盾してる。』
柳生は、いつもとは違う表情を見せた。
目はこちらからみえないものの、ずっと一緒に居た身、気迫だけで分かる。
「やっぱりアナタにはカラダに教えたほうがよろしいほうですね」
『ハッ、気もいこと言うなよ。もう、すでになぐったくせして』
柳生が、勢いよく拳を作り、それが私に当たる、
と思った。
―バキッ―
「っ・・・・」
「なっ・・・」
『え・・・』
いつまでたっても痛みが来ない。
恐る恐る瞼を開ける。と、
私と柳生は絶句。
だって、ジャッカルが、その拳を受けたのだから。
「ってぇ・・・」
「ジャッカル君・・・アナタは・・・」
柳生は、あせりだし、その場から、逃げた。
『っんで・・・』
「悪い・・・遅くなって」
ジャッカルは此方を向いたと思うと、いきなり頭を下げ、謝罪してきた。
『頭、上げて』
「本当に、すまねぇ」
『ジャッカル』
私は、ここでは目立つと思い、別の空き教室まで言った。
ジャッカル、
そう呼ぶと、彼はようやく顔を上げた。
『どうしてまた急に…?』
「俺は、・・・お前が名無しのことを殴ったとこも見て居なければ、名無しが殴られたところも見ていない。だから・・・」
『だから?』
「どっちが悪いのかなんて、分からなかった。でも、少し考えて、ようやく分かった。名無しさんはこんなことしないってな」
『ジャッカル・・・』
「でも、気がつくのが遅かった!俺が悩んでる間に、たくさんお前が傷ついて・・・!!」
『ジャッカル、もういい』
気がついたら、私はジャッカルを抱きしめていた。
なぜだか、自然に。
『全然、遅くなんて無い。あなたは、私のこと、ちゃんと知っていてくれた。だから、私うれしいの』
「名無しさん・・・」
『でね、ジャッカルはあまり気が進まないと思うんだけど・・・・』
「?なんだ?」
『私―――――――するの』
自然と自分の口角が上がった気がした。
楽しくなりそうじゃん。