赤月
□四章〜傷つけ合い〜
1ページ/1ページ
私は気づいた。でももう遅い。
私が言った一言を櫂トシキは聞き逃さなかった。
櫂「・・・・おい」
低い声とともに鋭い視線が私に突き刺さる。
『・・・なにかしら?』
櫂「ちょっと表で話したいことがある。付き合え」
『・・・・』
無言で二人は席を立ち、店の外に出た。
そして近くの公園の影で足を止めた。
櫂「・・・俺が今お前に用があるといったのは言うまでもない」
『・・・・・・』
櫂「俺はお前を気づいている。そして、お前も俺を気づいている。」
『・・・何が言いたいわけ?』
----------------------------------
三「ん〜〜・・なに話してるのかわかんねぇ・・・」
戸「・・・私は普通に聞こえるけど・・・」
先「僕も・・・」
?「あいつ・・・・一体何はなしてるんスかねぇ・・」
----------------------------------
すると櫂トシキは鋭い目をこちらに向け言葉を発した。
櫂「お前は・・・12年前俺と離れ離れになった名無しさんだろ」
『理由は?』
櫂「理由?
いいだろう。」
風がヒュウッ、と噴出した。その風と共に話し出した。
櫂「お前の行動、言葉だ。」
ホラね。さっきの。言わなきゃよかった。
ん?行動?
櫂「まずは行動からだ。初めは三和が質問した時だ。次はカードキャピタルに誘ったとき、三和が話しかけたとき、歩いているとき、これ全部過去のこと思い出してたんだろ。」
『!!?』
櫂「言葉は言わなくても名無しさんが一番わかっているはずだ。あの言葉は俺が昔、お前に教えてやった言葉だ。他の誰かがその言葉、使うはずがない。」
『・・・・・・』
何も言葉が出なかった。
全部あたっていたから。
嬉しかった。
トシにぃが私のこと思い出してくれたから。
私、大きくなったでしょ。
櫂「どうなんだっ!!名無しさん!!!!!!」
トシにぃっ!!
『ふぅ・・・・・もう、わかってたんだぁ・・』
--------------------------------
「「「「え?え?え?」」」」
-------------------------------
『そうよ。私は12年前兄弟だった名無しさん。』
櫂「・・・・・・」
『見た瞬間わかったわ・・・アレはトシにぃだって・・・会いたくて会いたくて仕方がなかった・・・・』
櫂「ならなんで声をかけてくれな『掛けてどうするの?』・・・は?」
『掛けてどうするのって聞いてるの』
あれ?何で?
『まぁでも普通の人だったら声を掛けるかもしれないわね・・・』
私・・・
櫂「俺は・・・俺はずっとお前を探してた!!」
こんなこと・・・・・
櫂「名無しさんに会いたくて・・・ずっと『煩い!!!!!』」
『ふふっ・・・・わかってる。わかってるわそんなこと。どーせ・・・』
言ってるの?
『親代わりとして私を保護したいだけなんでしょ』
何でなんで・・
『トシにぃは知らないよねぇ・・・私があの日からどんな生活を送ってきたのかを』
どうして・・・!
『私は「「「「うわぁぁぁぁぁ!!」」」」!』
櫂「どうしてお前らが・・・・」
『ふぅん・・・やっぱりあなた達だったのね・・・』
やめてぇっ!!
ザンッ!
『人の話盗み聞きとは・・悪い子ちゃんねぇ・・フフッ』
私は気がつけば片手に刀を持ち、倒れた先導の顔の真横寸前に地面に突き刺した。
先「ひっ・・・」
『あぁトシにぃ・・・一つ報告しとくわ』
刀を地面からはずし、立ち上がる。
『あなたの知る名無しさんはもういない・・・あの頃の名無しさんは・・・死んだのだから・・・』
櫂「・・・!?」
あぁ・・・また・・
またやってしまったのね・・・
仲間を傷つけることしかできない私・・・