赤月

□四章〜傷つけ合い〜
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私は気づいた。でももう遅い。
私が言った一言を櫂トシキは聞き逃さなかった。

櫂「・・・・おい」

低い声とともに鋭い視線が私に突き刺さる。

『・・・なにかしら?』

櫂「ちょっと表で話したいことがある。付き合え」

『・・・・』

無言で二人は席を立ち、店の外に出た。
そして近くの公園の影で足を止めた。

櫂「・・・俺が今お前に用があるといったのは言うまでもない」

『・・・・・・』

櫂「俺はお前を気づいている。そして、お前も俺を気づいている。」

『・・・何が言いたいわけ?』



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三「ん〜〜・・なに話してるのかわかんねぇ・・・」

戸「・・・私は普通に聞こえるけど・・・」

先「僕も・・・」

?「あいつ・・・・一体何はなしてるんスかねぇ・・」


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すると櫂トシキは鋭い目をこちらに向け言葉を発した。

櫂「お前は・・・12年前俺と離れ離れになった名無しさんだろ」

『理由は?』

櫂「理由?
いいだろう。」

風がヒュウッ、と噴出した。その風と共に話し出した。

櫂「お前の行動、言葉だ。」

ホラね。さっきの。言わなきゃよかった。
ん?行動?

櫂「まずは行動からだ。初めは三和が質問した時だ。次はカードキャピタルに誘ったとき、三和が話しかけたとき、歩いているとき、これ全部過去のこと思い出してたんだろ。」

『!!?』

櫂「言葉は言わなくても名無しさんが一番わかっているはずだ。あの言葉は俺が昔、お前に教えてやった言葉だ。他の誰かがその言葉、使うはずがない。」

『・・・・・・』

何も言葉が出なかった。
全部あたっていたから。
嬉しかった。
トシにぃが私のこと思い出してくれたから。
私、大きくなったでしょ。

櫂「どうなんだっ!!名無しさん!!!!!!」

トシにぃっ!!

『ふぅ・・・・・もう、わかってたんだぁ・・』


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「「「「え?え?え?」」」」


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『そうよ。私は12年前兄弟だった名無しさん。』

櫂「・・・・・・」

『見た瞬間わかったわ・・・アレはトシにぃだって・・・会いたくて会いたくて仕方がなかった・・・・』

櫂「ならなんで声をかけてくれな『掛けてどうするの?』・・・は?」

『掛けてどうするのって聞いてるの』

あれ?何で?

『まぁでも普通の人だったら声を掛けるかもしれないわね・・・』

私・・・

櫂「俺は・・・俺はずっとお前を探してた!!」

こんなこと・・・・・

櫂「名無しさんに会いたくて・・・ずっと『煩い!!!!!』」

『ふふっ・・・・わかってる。わかってるわそんなこと。どーせ・・・』

言ってるの?

『親代わりとして私を保護したいだけなんでしょ』

何でなんで・・

『トシにぃは知らないよねぇ・・・私があの日からどんな生活を送ってきたのかを』

どうして・・・!

『私は「「「「うわぁぁぁぁぁ!!」」」」!』

櫂「どうしてお前らが・・・・」

『ふぅん・・・やっぱりあなた達だったのね・・・』

やめてぇっ!!

ザンッ!

『人の話盗み聞きとは・・悪い子ちゃんねぇ・・フフッ』

私は気がつけば片手に刀を持ち、倒れた先導の顔の真横寸前に地面に突き刺した。

先「ひっ・・・」

『あぁトシにぃ・・・一つ報告しとくわ』

刀を地面からはずし、立ち上がる。

『あなたの知る名無しさんはもういない・・・あの頃の名無しさんは・・・死んだのだから・・・』

櫂「・・・!?」


あぁ・・・また・・
またやってしまったのね・・・
仲間を傷つけることしかできない私・・・

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