暦月
□I can do it!
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【だから…ね?こうしてこう膝を使えば自然とボールは飛ぶんだって】
【むぅ…私は…じゃないもん。できないもん】
【バカ。お前はできる。その頑固さを直せばな】
【バカはそっち。…そっちがそんなに言うなら…やってやらんでもない】
【ハハッ!さすが!自分の技術の向上には手段を択ばないんだな!さすがバスケットマン♪】
―羽堕とした堕天使は 汚れたちぎりに身をゆだねて 愛し合った過去でさえも その手で消し去ってしまったの―
『ん…』
目を開けると真っ暗な視界。あぁ、私そのまま玄関で泣いてしまったんだなと気が付く。
隣にあったケータイを見ると、きらきらとケータイが光り、音楽が流れていた。
『秘蜜…いい曲…じゃないや。だれだろ…』
カパッとケータイの画面を開けると、―望―と書かれていた。
私は通話ボタンを押し、電話に出た。
『もしもし…』
『ん…泣いてないよ』
私の声に望は泣いたのかと聞いてきた。
私はとっさに嘘ついてしまったけど。
『大丈夫…心配しないで…まぁ、あんたたちと一緒の学校だったときは驚いたけど』
フフ、と笑みがこぼれた。
『ウン…大丈夫だよ。これから買い出し行くし。もう、あんたじゃないんだから…まぁでもバナナ買っとくよ』
私はじゃぁね、と言ってケータイを閉じた。
現時刻は6時半。さて夕飯の買い出しに行くか。
私はさっ、と荷物を置き、財布とケータイだけを持って買い出しに出かけた。