暦月
□I can do it!
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数分後、名無しさんは制服に着替え、準備を始めた。
『…はぁ。用意できたけど…』
名無しさんは腰に手を当て溜息をついた。
『何してんの?』
理由は…
『桜木、あんたもこのバカトリオの仲間だったんだね。失望したっ…と』
「なっ!断じて違う!ふぬーッ!」
「うぉっ、なにすんだ花道っ」
桜木、野間、高宮、大楠が変なポーズで立っていたからだ。
「誤解だ名無しさん!天才・桜木はそんな変なこと…」
『さっきのポーズの言い訳?残念だけど心のブルーレイにきちんと録画したよ。言い訳は無用ー』
「名無しさん!なんだと―!ふぬー!」
『おっ…』
桜木が名無しさんに頭突きを食らわそうとする。
が、名無しさんがそれを避け、攻撃は失敗に終わった。
『変なことやってないで早く行こう。遅れるよ』
「なぁ名無しさん」
水戸が名無しさんを呼び止める。
「あいつら、お前が元気ないから励まそうとやってたんだぜ?」
え…?、と名無しさんは立ち止まった。
『桜木…野間…大楠…望…』
くるっと桜木たちの方向へ振り返った名無しさん。
『ありがとうねッ!!』
名無しさんは精一杯の笑顔を桜木たちに向けた。
「「「「…!!!///」」」」」
4人は一気に赤くなり、バカヤロー!!と叫んで外へかけ走って行った。
『?どうしたのみんな』
「ククク…ッ!さぁなっていうか名無しさん、無理してないか?」
『心配のし過ぎ。大丈夫だって』
「…無理だったら言えよ」
『分かったよ。過保護』
名無しさんは家のカギを持って家を出た。
ガチャ、とつかんだドアノブが重たく感じたが、精一杯の力を振り絞り、ドアを開けた。
ガチャンとドアを閉めると、カギを閉め、不慣れな通学路を歩く。
『ん〜ねむ…ふぁぁあ』
「名無しさん!!口がでかいぞ!!もっと晴子さんのようにだな…」
『だらぁぁぁ!!っるせぇなぁ晴子晴子!!てめぇは晴子の尻でも追ってろ!!』
「なんだと―――!?ふぬ――――!!晴子さんを侮辱するとは!!許せん!!」
『こっちのセリフじゃボケェ!!八つ裂きにしてくれるわ!!』
私と桜木が喧嘩になりそうになった。
…ところを…
「おい」
誰かに止められた。
「おい、お前」
前を見るとキレーな黒髪の長身君。
『って、誰?あんた背ぇ高いねー、なに、バレー部?』
私が黒髪君の身長を確かめていると…、
「ルカワー!!貴様なぜここにー!!」
『ばぁか、ここ学校だろ?よく見ろよ赤頭』
「ふんぬ―――!!名無しさん!!」
桜木をからかう。こいつは面白いなぁ…
『おっと、ところで君は…桜木の知り合い?』
「知らん、こんな奴」
『そうかなぁ?桜木はよっぽどの人じゃないと覚えないからね。んで、あんた誰よ』
「流川楓。1−10…あんたは」
『千条名無しさん…1−7よ。…ってか、何で私のこと…』
「お前だろ、俺のボール使って、ダンクしてたの」
「え…?」
「近くの、公園」
『な…人違いだよそれ。あたしじゃない』
「放課後…」
「体育館来い」と口パクで言う。
私はよくわからず、とりあえず行くことにした。