小さな物語

□和泉近衛の空虚 めだ箱
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和泉近衛の空虚。

あぁ・・・何も無い。え?どれくらい何も無いの?と聞かれれば、それが分からない位と答えるしかないくらい、何も無いのだ。

そもそも俺は何なんだ?何故ここに居る?どうして生きている。物心付いたときからもう、それしか考えられない。いや、考えていない。

気づけば一人だった。いや、家族が居なかったわけではないが。でも一人で居ることが多かったかな?

なんか父親という生物は仕事でいないし、母親という生物はそんな父に愛想を付かしていた。

おそらくあの女から見れば自分は邪魔だったのではないだろうか?

あぁ、駄目だ。落ち込むといけない方へ話が飛んでいってしまう。

その辺りのことはもう分からない。何故なら、母親はもう居ないからだ。ある日居なくなった。駆け落ち?逢引とか言う奴だ。とにかく簡単に言うと、父親に愛想を尽かし、別の男と消えたのだ。

なんてことはない。そうなんて事は無いのだ。よくあることだからな。

はて?なんでこんな話をしているんだっけ?あれ?どうしてこんな話をしているのだっけ?

俺が一人だという話からか・・・。

ついつい話し込むと話の軸がずれてしまうものだな。

さて、まぁそんな訳で俺には母親は居ない。居ないのだ。大事なことだから二回言うが。

だから・・空虚なのかな?



まぁ、なんでこんな場所にいるかと言うと・・・ほら、自己紹介くらいはしておこうと思ってさ。

気づいたら、ここにいた。訳の分からないヘラヘラした面の男が俺に言った。

『君の空虚は僕が埋めてさしあげましょう。世界からあふれる夢で』

まぁ・・・暇なので手伝うことにした。暇だからだ。何故なら空虚だからな。

さて、こんな空虚の俺にも大事なものくらいはあったはずだ。

そうそれはきっとぉ・・・・。

「おーい!近衛ーーー!!」

「あー?」

「何ぼぉーと歩いてるんだよ?」

「あぁーー。なんか・・・夢見てたわ」

「は?」

「あひゃひゃひゃw近衛くぅ〜ん。余所見してるとソフトクリーム落ちちゃうよww」

「あ?!やばっ・・・俺のチョコがぁ」

「ばーか。しっかり持てよ」

「あひゃひゃひゃひゃww」

「さてとぉ・・・行くか?」

「どこへだよ?」

「気の向くままにさぁ」



今日はどこへ寄り道しようか?
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