デスノート

□歪愛
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恋愛なんて興味無い。
独占欲なんてくだらない感情だ。

私には関係無いものだと思っていた―――。

 「はは。楽しみだね…次の講義が終わったら出掛けようか」
明るいハニーブラウンの髪の印象にも負けぬ爽やかな笑顔を浮かべながら言う彼に向けられた女性が舞い上がってしまうのは仕方ない。しかし、貴方は私の恋人のはずではなかっただろうか?

講義が終わると月くんは女性と教室を出ていった。私は身支度をしてホテルへと帰る。
彼の居ないこの場所に私が居る意味がないからだ。
彼の浮気は初めてではない。初めてでないどころか日常茶飯事だ。浮気だという認識すら彼には無いのだろう。もはや、私は彼と付き合っているのだろうか?

 『んっ…ゃ///』
彼に取り付けた盗聴器がクリアに音声を拾う。先ほど大学内で見た女の声が艶っぽく媚びている。
 『クスクス…可愛い』
まだ少し少年染みた声がからかうように言うと女の声がボリュームを増し、水音が紛れ込む。
いつもの彼だ。浮気をする彼は女をよく喘がせる。私が聞いていることを知っているからだ。
 『あぁっ、だめぇ///ァッ…月くっ、ァアン///』
私は部屋に一人、愛する人と知らぬ女のセックスを聞きながら彼を想う。
 『だめぇ…も、イっちゃうのぉ///』
なぜ彼は私と付き合っているのか?なぜこんなことを繰り返す彼を私は愛しているのだろうか?
 『あぁっ…アッ、ダメ、やぁっ…アンッ・あんっ///』
女の声が更に甲高くなり終わりが近いことが判る。彼の息遣いが色っぽく乱れるのが聞こえてきて私はとても興奮した。
 『イクよ…っあ!…ぁ///』
果てるの時の彼は妖艶で男らしく堪らなく魅力的だ。私は一人で果てていた。
私は盗聴器のスイッチを切った。彼がこういう女と関係を続けることはない。どんな思いで彼がコレを繰り返すのかは判らない。しかし、浮気の後の彼は酷く私に甘え私を求めてくる。その時を私は彼のセックスを反芻しながらただ待つ。
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