テニスの王子様

□再会
1ページ/1ページ

1年間通った3年6組の教室。
それも今日で終わりなんだと一人になって思った。
それぞれの道を歩む僕ら。
あんなに仲が良かった君とすれ違うようになったのはいつの頃からだろうか…。

「英二…」

彼の席に座る僕。なんだかとても切なくなってきて目頭が熱くなる。
お互いに納得して迎えた別れの筈なのに。

「ごめんね。僕はまだ、英二が好きみたいだよ…」

彼の机に突っ伏す。
主の居なかったそれは当然ひんやりと冷たくて、余計淋しさが募る。

友達になって、親友になって、大切な人になったのに…今はただのクラスメイトになった。
どうしてなのか判らない。僕が悪いのか、君が悪いのかさえ判らない。

僕はただ、君と笑って居たかっただけなんだよ。

一つボタンを掛け違えただけで、こんなに変わってしまうなんて。
思いもしなかったんだ。

「不二…そこ、俺の席」

不意に君の声が聞こえて僕の心臓が跳ねる。
靴音が近付いてくるのが判っても、顔を上げられずに腕の中に埋める。

「……」

君が僕に話しかけてくれるなんて本当に久しぶりだった。だから、どんな顔をして君を見れば良いか忘れてしまったみたいだ。

「ねぇ、不二…俺らなんで別れたんだろうね」

僕の向かい側の席に座った君の言葉に息が止まるかと思った。

「俺、まだ不二が好きなんだよ」

少しだけ淋しさを含んだ声だった。それはきっと、僕の想いも判っているからなんだろう。

どんなに強く想っても、もう二度と交わることはない。

「さよなら不二。今までありがとう」

立ち上がり僕の頭を撫でる手は大きくて愛しい温もりを伝えてくる。
心が切なく軋んで締め付けられる。

どうして出会ったんだろう。
どうして恋に落ちたんだろう。
どうして、どうして、どうして?


『どうして、お互いに好きなのに傍に居ることが出来ないの?』

僕は教室を出て行く君の背中を見送りながら、声に出すことが出来ない言葉を胸の中にしまった。

end
久しぶりに更新しました。今回は菊丸×不二です。
なんだか切ない話続いちゃいましたが(^_^;)
二人の戸惑いを書きたかったですが、主に不二中心になっちゃいましたね(苦笑)
次は幸せな話書きたいな〜♡(笑)
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ