テニスの王子様
□クリスマスとプレゼント
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今日は12月23日。明日はクリスマスイブ。そして俺の誕生日。あの人は覚えていてくれるだろうか…
「おっはよー♪12月も末になると寒いなぁ〜」
いきなり俺の背中を叩いたのは無邪気な笑顔を持っている人だった。
「今さら何言ってんすか。それに昨日も言ってましたよね…」
向けられる凶器に高鳴る鼓動を隠すように素っ気なく返事をした。
彼は幼い笑顔を浮かべて『そうだっけぇ?』と首を傾げている。
こんな何気無い瞬間に自分は彼にベタ惚れなんだと思い知らされる。
「おチビさぁ、明日ヒマ?」
ふと英二先輩を見るととびっきりの笑顔でこっちを見ていた。
今考えていたことが見透かされているようで俺は恥ずかしくなり帽子を深く被り顔を隠した。
「暇っすけど、明日クリスマスイブなのに恋人と一緒に居なくてイイんすか?」
自分で言ったのに何かに傷付いていた。
「なに言ってんの。俺の恋人はおチビだって♪だから一緒に過ごしたいの」
帽子の上から英二先輩が俺の頭に手を置いた。
『やめてください』と帽子を外すと彼の満面の笑みがあった。
「やっと顔見えたぁ♪隠すなよな」
ドキン、ドキンと胸が鳴る。やっぱり俺はこの人が好きだ。
でも、俺の誕生日なんて覚えてないくせに。期待させないで欲しい…。
「おチビさぁ、なんか欲しいモン無い?」
英二先輩の言葉に恥ずかしさから顔を反らした俺に手を握りながら言った。
「なんで?」
「だって明日はクリスマスイブだし…」
彼の顔が少しだけ赤くなった。
やっぱり誰も覚えてない。
「別に無いよ」
俺の答えに彼は頬を膨らませて唇を尖らせた。
「それじゃ困るんだよ。だって明日は…」
途中まで言いかけて先輩は慌てて口を手で覆った。
「明日は何?」
「クリスマスイブだし…」
少し口ごもる先輩に俺は思わず笑みが零れた。
「それさっきも聞いたよ」
俺の言葉に『そだっけ?』と苦笑を浮かべて言うと考え込むように少し無言になった。