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□心が狭いって言うな!*
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早乙女学園食堂。
Aクラスの聖川真斗は購買で買ったメロンパンを1人かじっていた。
するとそこにSクラスの来栖翔がやってきた。
「あ、聖川1人?隣いいか?」
「あぁ、良いぞ。珍しいな来栖が俺の所に来るとは。」
「そうか?普段那月や音也と食べる事が多いけど…今日はアイツら当番だかなんだかでやる事あるらしくてさ。」
「あぁ、そういえばそう言ってたな。」
「だから一緒に食おうぜ!」
「そうだな。」
真斗は柔らかな笑顔を浮かべ翔に言った。
隣に座った翔も嬉しそうにニコニコ笑いながらチーズトーストをかじり始めた。
真斗と翔はあまり2人で話す機会はないが、話始めると意外と会話が弾み楽しく食事をしていた。
「聖川とこんなに気が合うとは思わなかったなー。…あ!今日の放課後ヒマか?」
「特に用事はないが…。」
「なら一緒に音楽室借りてなんかやろうぜ!すげー良い曲が歌える気がするんだ!!」
青くて大きな瞳をキラキラ輝かせながら翔は真斗に言った。
「そうだな。なんだか良い演奏が出来そうだ。」
真斗も柔らかな笑顔を浮かべ翔を見た。
「おーし!じゃあ決まりだなっ!!俺、教室確保しといてやるから後でな!」
「あぁ、すまない。また放課後。」
翔は真斗に手を振り、帽子を押さえながら走り去っていった。
真斗はその背中を見送ってから自分の教室へと戻っていった。
「………。」
その2人の姿をずっと見ていた人物は眉間に皺を寄せ、真斗の背中をチラと見て自分の教室へと歩いていった。
放課後。
翔は約束通り音楽室を借り、真斗と2人でお互い授業でやった曲などを歌ったり音楽について語り合ったり、有意義な時間を過ごした。
「あれ?これって下校のチャイム?もうそんな時間かぁ。」
下校の時間を告げるチャイムが鳴り、練習に夢中だった翔は時計を見た。
「ん?そのようだな。時間があっという間に過ぎていったな。」
「だよな!またこうやって歌ったりピアノ弾いたりしような!俺、お前のピアノの音すげー好き!!また聴きたい!!」
翔はまた大きな瞳をキラキラ輝かせながら真斗に言った。
対する真斗も嬉しそうに柔らかな笑顔で答えた。
「俺も来栖の歌声、とても良いと思うぞ。パワーをもらえるというか、すごく明るい気持ちになれるな。また聴かせてくれ。」
「おう!もちろんっ!!じゃっそろそろ帰るか。」
「そうだな。」
帰り支度をした2人は音楽室を出て、鍵を返して寮へと戻った。
「じゃあ、今日はありがとな。」
「こちらこそ、楽しかったぞ。」
「おう!またなー!」
と手を振り、翔は自分の部屋へと戻っていった。
真斗も自分の部屋のドアノブを回し、部屋に入った。