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□発熱保健室*
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早乙女学園保健室前。


「「真斗くんがお熱で倒れてしまったので、同室のレンくんに連絡しようと思いメールしました。真斗くんは保健室で寝ているのでお見舞いしてあげて下さい!!」」


Aクラスの四ノ宮那月からそうメールをもらい、神宮寺レンは保健室の前までやってきた。
ガラリとドアを開けると先生はおらず、中に入る。
ベッドの方へ行くとそこに真斗が寝ていた。


「…聖川?」


側まで行って声をかけると寝返りをうってレンの方を見た。


「…っ…じ…んぐうじ…?」


真斗は気だるそうにレンを見上げた。
熱で上気した顔、うっすらと滲む汗、トロンとした瞳。
そんな姿にレンは一瞬イけない想像をしたが、具合の悪い真斗を目の前にその想像をすぐに打ち消した。


「大丈夫かい?」


「…ぅ…ぅ…ん…」


真斗は小さく唸るだけでちゃんとした言葉を発することが出来ない。
そっと近づき額に手のひらを置くと、かなりの熱さだった。


「ホント、ひどい熱だね。薬とかは飲んだのかい?」


「…ぅーん…ぅぅ…」


真斗は熱に魘されているのかレンの問いに答えられず、身動ぎをする。
レンは懐から小さな瓶を取り出した。


「これ、今来るときにボスからもらったんだ。効くのか怪しいもんだけど、飲まないよりはましだと思うから飲んで。」


と取り出した瓶から錠剤を3粒口に入れ、水道から水を含み、親指で真斗の口を薄く開いてから自らの口で塞いだ。


「…っ…っふ…んぅ…」

真斗は入れられた水を少しずつ飲み込んだ。
全て注いで真斗が飲み込んだのを確認してから口を離し、口端から溢れた水をレンは舐め取った。


「…ちゃんと飲めたね。」


レンは自分の唇を舐めて拭ってから真斗の頬に手を伸ばした。
ぼんやりとした表情の真斗は近くにあるレンの顔を眺めた。


「…ぁ…ありがとう…じんぐうじ…」


苦しそうだが少し笑って礼を言った真斗は再び目蓋を下ろし眠ってしまった。


「やれやれ。具合が悪いときは素直だね。」


レンは眠る真斗の髪を撫でながら安堵のため息をついた。
このまま放って帰る訳にはいかず、側のイスに座り、真斗の寝顔を見守り続けた。


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