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□囚われの恋人*
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早乙女学園。
授業を終えた聖川真斗は寮へ戻ろうと階段を下りていた。
すると担任の月宮先生に遭遇した。
「あ、まぁくん!丁度良いところに!」
月宮先生は笑顔で真斗の方に駆け寄り、1枚の手紙を差し出した。
「まぁくん宛に学園へ届いてたわよ!はい、コレ。」
「…あぁ…ありがとうございます。」
誰からなのかと首を捻りつつ手紙を受け取った。
「じゃ、気をつけて帰ってね♪」
それを渡すと可愛らしい笑顔でヒラヒラと手を振り去っていった。
「お疲れ様です、さようなら。」
受け取った手紙を片手に、先生に礼をしてから真斗は寮に戻った。
「ただいま。」
寮の部屋に戻るが、まだレンは戻っていなかった。
手紙が気になったが、着替えて落ち着いてからにしようと荷物を置き、部屋着の浴衣へと着替えた。
着替えを終えた真斗はさっき渡された手紙を取り出す。
宛名は"聖川真斗様"と達筆な筆で書かれている。
この字を見てすぐに父だと気がついた。
「…はぁ…」
父からくるものは何か良からぬことが書いてあるのではと妙な胸騒ぎがする。
小さく溜め息をついてからそっと手紙を開封した。
「…はぁ…」
内容は予想通り、"諦めろ""早く家に帰ってこい"連れ戻すぞ"といったことが書かれていた。
少しは許してくれたのかと思っていたが、全く違っていたようだ。
手紙とにらめっこをしながら考え事をしているとガチャリとドアが開く音が聞こえ、慌ててその手紙を机の引き出しにしまった。
「…ただいま。」
「お帰り。」
慌てて何かをしまった真斗を疑問に感じたが、平然を装う真斗にレンは何も尋ねなかった。