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□レン×真斗×レン*
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早乙女学園寮。

クラスメイトの音也と授業の片付けをしていた真斗はいつもより帰宅が遅くなった。
疲れながら部屋のドアを開ける。


「ただいま。」


「お帰り。」


「いつもより遅いね?どこか寄り道してたのかい?」

「………。」


真斗は部屋の中を見てすぐにドアを閉めた。


「…どうなっているんだ?」


あまりに信じられない光景を目の当たりにした真斗は廊下でドアに手をかけたまま固まってしまった。
しかし、このままここで悩んでいても埒があかないため、再びドアを開ける。


「ちゃんと帰ってきたんなら部屋に入りなよ。」


「せっかく帰ってきたのに、お前の顔が見れないなんて寂しいだろ…?」


真斗は大きな溜め息をついてからゆっくりドアを閉め、部屋へと入った。


「お帰り。」


「お帰り、聖川。お前が帰ってくるの待ってたよ。」


真斗が大きな溜め息をつく理由。
それは何故か部屋にレンが2人いるからだ。


「…なぜ…貴様ら2人いるんだ…」


「ボスからもらったものを飲んじゃったんだ。」


「…前に俺が同じ状況になったとき…学園長からもらったものを口にするなと言っていなかったか…?」


「そういえば…そうだったね。」


「分かっていたんだけど、なぜか口にしたくなったのさ。」


2人のレンが真斗を見つめ答える。
真斗は再び大きな溜め息をついて首を捻る。


「…全く…呆れたヤツだ。…それでこれからどうするんだ?」


「どうするって…お前が同じ目に合ったとき勝手に消えたから、放っておくけど?」


「放っておく!!ではこのままお前が2人いる状態で共に過ごせと言うのか!?」


「仕方ないだろ?対処のしようがないんだから。」


「そんなに嫌がらないでよ?お前は2人の俺に見つめられるのは嫌かい?」


そう尋ねながら1人のレンは真斗の頬を優しく撫でる。
優しい手つきに真斗は少し頬を染め困惑する。
するともう1人のレンは眉間に皺を寄せ、真斗に触れる手をペシリと叩く。


「ちょっと、勝手に俺の聖川に触らないでくれるかなぁ?」


明らかに怒りの感情を表にするレンに対し、もう1人のレンはへらへらと笑ったまま答える。


「あれ、それは失礼。でも、キミの聖川ってのは変じゃない?俺だって神宮寺レンなんだから。」


「それくらい分かってるよ。けどお前は俺の中に住む俺だろ?分身の分際で勝手なことをしないで欲しいなぁ。」


本体と思わしきレンは分身らしきレンに対し敵意むき出しで文句を言う。
目の前で2人のレンが言い合いする状況に真斗は困惑する。


「ま、待て。お前たちは何を争っているんだ?自分なのだから仲良く出来んのか?」


「お前のことで言い合いしてるんだよ。」


「全く分かってないなんて…相変わらず可愛いね。」


「だから、口説こうとするなって!」


「やれやれ。本体の俺はどうしてこうも心が狭いかな…」


そう言いながら分身のレンは真斗の腕を引き、後ろから抱き締める。


「っわ!」


「いつもこんな心が狭い男といたら疲れない?…俺ならお前を存分に甘やかして、優しく愛してあげるよ?」


そう耳元に囁きかけると真斗の頬にチュッとキスをする。
それを見ていた本体のレンは怒りを露に、真斗の腕を引き、2人を離してから自分の胸に抱き締める。


「優しくするだけが愛じゃないだろ?たまに意地悪なセリフを囁いて刺激を与えた方が良いだろ?」


そう分身を睨み付けながら抱き締めている真斗の耳をベロリと舐める。


「…っんん…」


真斗は2人のレンから板挟みに合い、どうしたら良いのか分からず2人の顔を交互に見比べる。


「そんなに手荒な真似するのは可哀想だと思わないのかい?」


「聖川の嫌は本気の嫌じゃないんだよ。俺だって本気で嫌がることはしないさ。」


「そうなの?」


「?」


2人のレンが言い合いをする状況に未だ混乱する真斗は2人の会話の内容など把握しておらず、首を傾げる。


「そんなことする訳ないだろ?好きな子程意地悪して可愛い顔が見たいだけだからね。」


「それにしては、ちょっとやり過ぎなんじゃない?」


「そんなことはないさ。本当に嫌だったら、聖川だって俺の側にはいないはずだろ?…ね?」


「…っあ…やめろ…」


レンは抱き締めたままの真斗の耳元に囁きかけ、耳たぶをやんわりとかじる。


「ホントは…やめて欲しくないでしょ?」


「…っんぅ…」


「うーん…嫌と言う割には…ずいぶんと頬を染めているね?」


レンの腕の中でもぞもぞしている真斗に、分身のレンはそっと頬を撫でる。


「…っん…」


「だからさっきから言ってるだろ?お前の優しい愛とやらでは聖川には物足りないかもよ?」


相変わらず敵意向きだしのレンは真斗の頬を撫でる手を払う。


「そんなの試してみなきな分からないだろう?」


しかし分身のレンも負けじと反論をする。


「だから、勝負してみない?」


「勝負?」


「そう、分身である俺と本体であるキミで聖川を感じさせる。どちらの方が良かったか決めてもらう…ってのはどう?」


「…は?」


「…ということは…キミも聖川に触れるということかい?」


分身の提案にレンは不服そうな表情を浮かべる。


「そういうことになるね。…やらないのかい?」


「いくら分身で俺だとしても、聖川に触るのは許可したくないね。」


はっきりと言い張るレンに分身は溜め息をつく。


「…聖川を愛していて、大事なのは分かるけど…そんな心の狭いことばかり言っていると嫌われちゃうよ?ね、聖川?」


レンの腕の中にいる真斗へと分身は笑顔で尋ねる。
突然聞かれ真斗は困惑する。


「…あ…いや…」


「…分かったよ。そんなに言うなら受けてあげるよ。」


「おや、やる気になったのかい?」


「聖川を触らせるのは嫌だけど…仕方ない。聖川がどんだけ俺に溺れてるか見せてあげるよ。」


「良い返事だね。じゃあやってみようか?」


話の纏まった2人はアイコンタクトを交わすと、レンは腕の中の真斗を抱え、ベッドへと移動し始めた。



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