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□セーラー服と聖川様*
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とあるマンション。

ここに暮らすアイドルの神宮寺レンは台本を片手に気難しい顔をしていた。
同じくこの部屋に暮らすレンの恋人、聖川真斗はその様子に首を傾げた。


「神宮寺、どうかしたのか?」


「え?…あぁ…今度出るドラマがね…」


そう言ってレンは台本を真斗に見せた。
真斗は受け取った台本をパラパラと見ながらレンに尋ねた。


「…学園ものか?それで、お前は何の役なんだ?」


「可愛い女生徒に手を出しちゃうイケナイ実習生。」


「…お前にずいぶんとお似合いな役だな…」


「それ、どういう意味?」


「…いや…お前ならやりかねんだろう…」


「おいおい、俺を何だと思ってるの?もし、俺が実習生でもこんなことはしないさ。」


「…信用出来んな…」


「お前と付き合うようになって俺が浮気したことあった?」


「…いや…」


「俺が愛するのはお前だけだよ…聖川…」


そう言ってレンは真斗の髪をサラリと撫でた。


「なっ!…そ…そういうことを聞いているんではない…!!」


「じゃあ何?…俺が可愛いレディに手を出しそうな軽率な男に見えるって?」


「…あぁ…イメージの話だ。」


「勝手に変なイメージ植え付けないでくれるかなぁ。お前にそう言われると少しショックだよ…」


真斗の言葉に、本当に傷ついたレンは悲しげな顔をした。
珍しいレンの姿に真斗は慌てて謝った。


「す、すまん!もうお前が軽薄な行動をせんのは分かっているぞ。」


「…ホントに?」


「あぁ。」


「…そっか…ありがと…」


レンは嬉しそうに笑うと真斗を抱き寄せ、また髪を撫でた。


「…それで…お前は何を悩んでいたんだ?」


「この役の心情が分からないっていうか…感情移入が出来ないっていうか…」


「………。」


「何だよ。」


「…いや、この役の気持ちが理解出来んというお前が不思議に感じて…」


「俺はもうお前さえいれば良いと思ってるから、こんなことする気持ちが分からないのさ。ホント信用ないね…」


「す…すまん。」


「あーあ。ショックでやる気なくなっちゃった。」


そう言ってレンは持っていた台本をテーブルへと投げた。


「お、おい。収録はいつなんだ?」


「明後日。」


「明後日!?もうすぐではないか!それなのに投げ出してはいかんだろう。」


「だってお前が俺にひどいこと言うから…」


焦る真斗に対し、レンは口を尖らせ拗ねている。


「子供のようなことを言うな!そのような態度で仕事と向き合うな!!」


真斗はレンに説教をするも、レンはそっぽを向いて真斗の言葉を無視する。
真斗は大きな溜め息をついてレンに言った。


「…仕方ない。俺が練習に付き合ってやるからちゃんと役を掴め。」


「…付き合ってくれるのかい…?」


「お前の機嫌を損ねた詫びだ。」


「…ありがと…」


「礼には及ばん。お前を傷つけたのは俺のようだしな。」


そう優しく言い真斗はレンの頬を撫でた。
珍しい真斗の行動にレンは驚きつつ、真斗をギュッと抱き締めた。



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