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□スーツと御曹司*
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とあるマンション。

ここに暮らすアイドルの聖川真斗と神宮寺レンは音楽賞の授賞式を終え、2人そろって帰宅した。


「はぁー…疲れた…」


レンは帰宅早々ネクタイを緩めボタンを胸元まで外し、ソファにどっかりと座る。


「やはり、あのような場面は嬉しいが疲れるな。」


真斗は荷物や花束を置くとキッチンに向かいお茶を用意する。


「全くだよ。ありがたいことだし嬉しいけど、堅苦しいのは嫌だね。」


そうぼやきながらレンはソファに寝そべる。
お茶を持った真斗は違うソファに座りお茶を啜る。


「特に、お前は普段このような格好をせんから疲れるのだろう。」


「ホントそうだよ。ネクタイなんてするの久しぶりだよ。」


「たまには良いだろう?」


「もう当分ゴメンだね。首元が苦しく感じるし、固い格好はもう良いよ。」


「そうか?ならば、さっさと着替えたらどうだ?」


「うん、分かってるけど…ちょっと疲れて動きたくないな…」


よほど疲れたのかレンは動こうとせずソファの上でもぞもぞと動く。


「…仕方ない奴だな…」


真斗は大きな溜め息をついて立ち上がる。
そのまま寝室に向かうと、レンの着替えを持って戻ってきた。


「ほら、服は持ってきてやったぞ。さっさと着替えろ。」


そう言いながら着替えをレンへと投げつける。


「ありがと。」


礼を言うとようやく起き上がりジャケットを脱ぐ。
真斗はそのまま大きな窓のカーテンを閉めようとそちらに向かう。
すると真斗は外を眺めたまま動きが止まる。


「どうしたの?」


「いや、先ほどのきらびやかな会場も美しいが、このような夜景も綺麗だと思ってな。」


2人の暮らす部屋はマンションの高層部分。
そんじょそこらのホテルより綺麗な夜景を堪能することが出来る。
真斗はそれをジッと眺めている。
その後ろ姿を見ていたレンは重い腰をあげ、立ち上がる。


「夜景を見るんなら、電気消した方が良いんじゃない?」


そう言いレンは部屋の照明を落とす。


「…ほぉ…本当だ…とても綺麗に見える。」


部屋の照明が落とされたことによって外の夜景がより鮮明に見え、真斗は嬉しそうに笑う。
その無邪気な笑顔にレンは可愛いと思う反面イタズラをしたい衝動に駆られ、真斗の背後に立ち、腰に腕を回す。


「…そうだね…あの会場よりずっと綺麗だね…」


レンは真斗の肩に顎を置き、耳元で喋っていると真斗は勢いよく振り返る。


「そ、それよりお前はさっさと着替えたらどうだ!」


「どうして?」


「堅苦しいのは嫌だと言ったのは貴様だろう。俺が着替えを持ってきてやったのだからさっさと着替えろ!」


触れ合っていたのがよほど恥ずかしかったのか、真斗は真っ赤な顔でレンの身体を離そうとする。
するとレンは真斗の腕を掴まえるとそのまま窓ガラスに押し付け唇を奪う。


「…っん…んんっ…」


突然の激しい口づけに真斗はされるがままレンの口づけを受け入れる。
チュッと唇が離れるとレンは意地の悪い笑顔を浮かべ真斗を見つめる。


「着替えは後回しで良いや。今は…お前と触れ合いたい…」


「なっ!…何バカなことを言ってるんだ…!」


「だって…スーツ姿のお前にイタズラしたくなったんだもん…」


「…は?…や…やめろ…!…んっ…んんっ…」


抵抗しようとする真斗の唇を再び塞ぎ、動きを止めさせる。



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