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□ウェディングドレスと聖川様*
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ある日。
真斗は仕事を終え帰宅した。
すでにレンが帰宅していて出迎えをしてくれる。
「ただいま。」
「おかえり。」
レンは真斗の唇に触れるだけのキスをすると、リビングへと戻る。
真斗も後を追いリビングへ向かう。
荷物を置き、ソファに座ろうとするとその手をレンに掴まれる。
「?」
「ちょっとついてきて。」
それだけ告げるとレンは真斗の手を引き家を出た。
マンションを出ると外には神宮寺家の車らしきものが停まっていて、レンが手を上げると2人のとこまでやってくる。
レンはドアを開け真斗をエスコートする。
「どうぞ。」
「どこへ行くんだ?」
「良いから乗って。」
不振がる真斗にレンは笑顔を向ける。
仕方なく真斗は車に乗り込むとレンも次いで乗り込む。
しばらく走った車はゆっくりと停車した。
「降りて。」
レンはそう真斗へ声をかけドアを開ける。
首を傾げつつ真斗は車を降りるとそこは飛行場のような場所。
「こっちだよ。」
さらに首を傾げる真斗の手を引きレンは自家用ジェット機へと導く。
「これに乗るのか?」
「そうだよ。さぁ乗って。」
「どこへ行くんだ?」
「内緒だよ。ほら、行くよ。」
眉間にシワを寄せる真斗にレンは相変わらず笑顔を向ける。
そのまま手を引きジェット機に乗り込む。
真斗を席に座らせるとレンは運転席へと向かい、操縦士に英語で指示を出す。
それが終わるとレンは真斗の隣の席に座る。
「じゃ、出発するからね。」
「だから、どこへ行くんだ!」
「内緒だって言っただろ?」
そう言いレンは真斗の手を握る。
何も教えようとしないレンに真斗はプイと顔を背け目を閉じた。
「…じり…かわ…ひじりかわ…」
真斗は遠くから呼ばれている気がしてゆっくりと瞼を開く。
「…聖川…やっと起きたね…」
目の前にはレンが心配そうな表情を浮かべていた。
「…ん…神宮寺…着いたのか…?」
「着いたよ。起きれるかい?」
「…あぁ…」
ずいぶんと寝ていたような気がする真斗の意識はぼんやりとしている。
レンに腕を引かれ立たされると少々よろける。
「しっかりして。さぁ、行くよ。」
腕を引かれジェット機を降りる。
そこに広がっていたのはとても青く綺麗な海と空。
明らかに日本ではない。
「…神宮寺…ここはどこなんだ…?」
「神宮寺が所有する島の1つだよ。」
「…は?」
「さぁ、行くよ。」
突然のことに呆然とする真斗を尻目にレンは真斗の手を引き歩き出す。
「おい、俺をこんな場所に連れてきおって…どうするつもりなんだ。」
「行けば分かるさ。」
少々怒りながら尋ねる真斗に、レンは相変わらず笑って答える。
島の中へと歩いて行くと大きな建物が見えてきた。
その入口には何人か人が立っていて2人を出迎える。
しかし日本語ではない言語を話していて真斗にはさっぱり何を言っているのか分からない。
レンは笑顔で受け答えをし、真斗の背中を押した。
「じゃあ聖川、また後で。」
「は?お前はどこへ…?」
「色々と支度があるからね。お前のことはこの人たちに任せてあるから安心して。」
「…しかし…」
「大丈夫、終わったらまた会えるから。」
異国の地で見知らぬ異人に預けられ、怒りより不安な気持ちが心を占める真斗はレンを見つめる。
レンは優しく微笑み真斗の頬にキスをするとまた背中を押した。
「っわ!」
「また後でね。」
そう言うとレンは真斗に手を振り先に建物の中へと入っていった。
「マサト、コチラへ。」
「…あぁ…」
男2人女2人、計4人の島の人に連れられ真斗も建物の中へと入った。