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□かぐや姫*
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それから2人はその赤ん坊に"真斗"と名付け、それはそれは大事に育てました。
2人の愛情を受けた真斗はとても美しく、女の子と見間違うほどの可愛い子に成長しました。
(可愛いからとおじいさんが女の子の服を着せていたため、余計見間違うほどになってしまったのかもしれません)

その美しさを聞き付けた若者が真斗に結婚を求め、毎日のように家に訪れるようになりました。
おばあさんがいくら男の子だと説明しても、誰も信じることはなく、毎日毎日たくさんの若者が家の門を叩きに来ました。

いい加減面倒になったおばあさんは、真斗と結婚したいという若者を集め大会のようなものを開催しました。


「家の大事な真斗と結婚してぇならその根性を見せてみろ!!!」


集められた若者たちにおばあさんはそう言うと真斗に相応しい男性なのか見極めるべく、崖を登らせたり、米俵を担がせたり、きちんと女性をエスコート出来るか試したりと色々な試練を与えました。
そうして、おばあさんの試練を乗り越えることの出来た3人の若者に、最後の試練を与えようと、集まってもらいました。

1人目の若者は、赤い髪に同じ色の瞳。
太陽のような明るい笑顔の快活な青年でした。


「一目見たときから君と一緒になりたいって思ってたんだ。絶対君を幸せにしてみせるよ!」


2人目の若者は、黒い髪に同じ色の瞳。
とても物静かで真面目な青年でした。


「私なら彼女を絶対に幸せにする自信があります。私に任せて下さい。」


3人目の若者は、オレンジの髪に水色の瞳。
いかにも軽そうな青年でした。


「俺にかかれば落とせないレディはいないよ。必ず俺の虜にしてみせる。」


たくさんの若者の中で唯一残ったのが、この3人でした。
1人目と2人目は分かりますが、3人目は明らかに遊び程度に来ているのが見て分かり、おばあさんはなぜこの人物が残っているのか疑問に感じました。


「アイツ、真斗と結婚したいんじゃなくて、自分の力を見せつけたいって感じだよな…ムカつく奴…」


そう溢してから3人を待たせている部屋に入っていきました。


「よくここまで頑張ったな。お前たちに最後の試練を与える。まず、お前。」


「お、俺?」


「お前は、町で噂の早乙女喫茶の看板娘、月宮林檎の化粧道具を盗んでこい。」


「えぇ!!りんちゃんの!!??む、無理だよ!!りんちゃんはあまり素顔を見せないって…」


「真斗のために、それを持ってこい。」


「…うぅ…」


「次はお前。」


「はい、何でしょう。」


「お前は早乙女喫茶の料理長、日向龍也の愛馬を連れてこい。」


「…う…馬ですか?」


「あの方は昔、その馬を使って戦に行ったことがあるらしい。それはそれは勇ましくカッコいいとか…」


「………。」


「…ゴホン…とにかく、真斗と結婚してぇなら日向さんの馬を連れてこい。」


「…分かりました…」


「最後にお前。」


「何でもどーぞ。」


「あの早乙女喫茶の経営者、シャイニング早乙女のサングラスを盗んでこい。」


「は?ボスのサングラス!?」


「そうだ。誰も見たことがないというシャイニング早乙女の素顔を暴き、サングラスを盗んでくる。」


「なんだか、俺だけ難易度が高い気がするんだけど…」


「みんな大変なのは一緒だろ?真斗と結婚してぇならそれぐらいの試練乗り越えてみせろ。」


「分かったよ。ボスのサングラス、絶対お前に見せてやるよ。」


「お、俺だってりんちゃんの化粧道具持ってきてみせるよ!!」


「私も、貴方方に負けるつもりはありませんから。」


そう強く意気込んだ3人はそれぞれの物を求め、家を出ていきました。
陰からそれを見ていた真斗とおじいさんは心配そうに若者の背中を見つめました。


「本当に大丈夫なのだろうか…」


「大丈夫だよ。無理だと分かったらどうせ逃げ出すだろ?」


「…だが…」


「お前は何も心配すんな。お前を嫁になんか絶対ぇやんねぇ。お前はずっとここにいれば良いんだよ。」


心配そうな表情を浮かべる真斗におばあさんは優しく髪を撫でてやりました。



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