書評・熱闘篇

□『とてつもない日本』
1ページ/1ページ

 私は個人的には政治家の本は買わないようにしている。政治家の本は内容が多分に時事的で、わざわざハードカバーの高い本を買ってもあまり読み返さないし、仮に読み返したとしても、そのときにはその本は既に流行遅れになっている場合が大半だからだ。しかし、麻生太郎のこの本は買ってしまった。何故であろうか。
 単純にハードカバーでなく、新書であったことも大きいが、個人的には、麻生が夢を演出してくれる(もしくは、そう見せている)人物だからではないだろうか、と思う。日本人はバブルの崩壊後、自分の国のことを『だめな国』・『終わった国』と自己批判し、更に内省的になったのではないかと思う。最近の日本人は昔に比べ変わってしまったような感があるが、内省的な点では昔も今も変わらないような気がする。そのような日本人に対し、麻生は自らの外務大臣の経験を活かし、日本の文化(多分、麻生的にはポップカルチャー?)や日本の国際貢献などは諸外国から想像以上に評価されている(だから、もっともっと日本人は自信を持っていい)ということと、日本は『自由と繁栄の弧』という、ユーラシア大陸周縁部に広がる新興民主主義国家のリーダーとしての自覚を持とう、ということを述べている。
 麻生は間違いなく楽観主義だろう。若者に迎合しているという批判もあるかと思う。しかし、私は夢を見られなくなった日本人に、新たな夢を提供してくれるだけでも十分評価できるのではないかと思うのだ。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ