【Mein】
□体育館倉庫にて
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「あっつー」
まだ体育館は外よりは気温は低くて涼しい方だが、真夏と言う外の熱気と練習中の部員の熱気で体育館は蒸されていた。
「黄瀬、汗を飛ばすななのだよ。お前のボールやけに濡れててキモいのだよ」
「何スかー!緑間っちもたいがいじゃないッスか」
「うっせーよ、お前等が喋るとまた暑くなる」
勿論暑いと文句を言いたくなる。
「5分間休憩ー」
「うぃー」
赤司が指示を出して、練習していたキセキと1軍が返事をして、
みんなそれぞれ自分水筒のある場所へ走っていった
キセキだけはみんなと孤立した場所に固まって置いている
「ちゃんと水分補給しなよ。倒れたら大変だからね」
「やべーもう茶ねぇ」
「ていうか、赤司っち何でそんな汗かいてないんスか!?」
確かに、みんな流れ落ちて、前髪が額にくっつくぐらい汗をかいている中、赤司は少しジョギング程度の汗
「血行悪いんだ赤ちーん」
「全然健康だよ」
逆にみんなが健康すぎるんじゃない、と言って水筒を取った
「んなことより喉乾いたー」
水分が無くなって、赤司の飲もうとしているお茶を見つめていた
「赤司ー茶くれぇー」
「だから昨日あれ程水分を持ってこいと言ったのにー…あっちょっ」
返事を聞かないまま、青峰は赤司の水筒を取りあげ、ガブガブと飲みだした
「…俺ももう水分それしか無いんだけど…」
ハァ、とため息をつきつつ、水筒を取り返した
「青峰っち罰としてメニュー3倍ッスね!」
「そうだね。むしろ倍の6倍でも足りないぐらいだよ全く。しかもお茶全部飲んじゃってさ。礼儀をまず叩き直さないと」
「黄瀬テメェ余計なこといいやがって」
何やかんややっている内に休憩時間は終わり、練習に戻った。
だが、赤司の調子が少し変だった。
ただそれに気づいたのは紫原だけだった
「赤ちんどうしたのー。ちょっと休んだ方がいんじゃない」
「…休むも何も…俺は体調不良ではない至って良好だ」
何ていいながら顔色を悪くして、立つのもどこかダルそうなのにどうにか笑顔を保つ赤司。
「涼しい所いこ」
彼が無理している、とういことは紫原には解っていた。
静かに赤司の腕を掴んで体育倉庫へと向かう
「体育倉庫って涼しいんだよ。だから休んで赤ちん」
「だから俺は大丈夫だってー…」
「嘘。絶対嘘だよね赤ちん。俺には無理してんのバレバレだかんね」
そう言うと、赤司は何とか保っていた笑顔を崩して、そこにあったマットへと腰をおいた
「済まない…敦…」
「何も謝ることないのにー」
閉め切った体育倉庫の外からはキュっという靴のゴムの音とボールの跳ねる音と掛け声が響き、体育倉庫の中ではただ赤司の荒れた息の音が響く。
「赤ちん水分とってないでしょ。絶対熱中症だよー」
「…かもしれないね」
すると、紫原は体育倉庫から出て行ったと思いきや、すぐに帰ってきた。
その手には紫原のと思われる水筒があった
「あー…済まない…敦…」
「どんだけ謝んのー」
ゆっくりマットに座っている赤司に近づき、赤司の目の前で腰を下ろした。
赤司の座っているマットは4枚ぐらい重なっているが、薄い為に、座高の高い紫原が膝をついても赤司の方が若干低いのである。
目の前に来た紫原を虚ろな目で見る赤司。
そして、その水筒を赤司に渡すのではなく、自分の口に運んだ。
口の中にお茶をため込んだまま、赤司の半開きの口に突っ込む。