夢・短

□サイドストーリーの残すもの
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好き

言っても届かない言葉を何度口にしたんだろう。

答えなんて出してくれないと分かっていながら、何度口にしたんだろう。

好き

たった2文字のこの言葉に、何度想いを込めればいいんだろうか。

言えば言うほどつらくなる。
言えば言うほど離れてゆく。

それが分かっていながらも、言わずにはいられない。
一度言葉にしてしまった想いは、止めようにも止まらなくて、
口にするたびに心が悲鳴を上げる。

体が交わる度に心をよぎる、淡い期待。
馬鹿みたいに期待して、むなしさに襲われて
そんなことを繰り返す。

どうせ伝わることがない想いなら、
もっと上手な想い方がきっとあるんだろう。

気持ちの整理の方法とか、前向きで最善な策とか。

それが分かっていながら止められない自分は本当に大馬鹿者。


今日も彼を想いながら一日を過ごす。
彼の気持ちが自分に向いていないと自覚しながら。
いつかは私を見てくれる。
そんな根拠のない自信と淡い期待。


お気に入りのラブソングが鳴り響いた部屋。

彼専用の着うた。
彼専用のライトカラ−。

ピッ

メールボックスを開いた時
少し強い風が私を包み込んだ。

その風は私からいろいろなものを奪ってゆく。
周囲の音。
淡い期待。
高揚した気持ち。

彼。

私の視界には、携帯の画面。
たった一言 彼からの言葉。


“好きな人が出来ました。”


こんなにもあっさりと打たれた終止符
あぁ、きっとこの物語サイドストーリーなんだ。

主人公と可愛いヒロインの恋が刺激的なものになるように添えられたスパイス


風とともに運ばれてきた私の恋の最後のページ
読者の心に何を残すのだろうか。

〜完〜
 

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