私の好きな人。【完】

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「優樹菜っ!一生のお願いっ!!」



「茉央…あんた一生のお願い
何回使うのよ…。」



「これで最後だからっ!!」



「どうだか…。」



あたしは今、親友の茉央に
一生のお願いをされている。



何度一生のお願いを
されたことか…。



「今度こそ運命の人に
出会えるって!!」



「別に、あたしは望んでないし。」



「もう、いつまで引きずってんのよ。」



「……だって総司は
あたしにとって
かけがえのない人なんだもん。」



「でも、もう総司くんは
彼女がいるんでしょ?
もう忘れなさい。」



「他人事だと思って…。」



「うん、他人事だもん。」



「……一生のお願いは却下。」



「うそうそうそー!!
総司くんのこと
忘れなくてもいいから!!
だからお願いっ!!」



「はぁ…。
分かったわよ。
今回で最後だからね。」



「ありがとう!!
優樹菜大好きっ!!」



結局あたしは行くことに
なってしまった…合コンに。



あたしには忘れられない人がいた。



それが総司。



彼とは、あたしが19歳の時から
付き合っていた。



喧嘩もあったけど幸せだった。



5年も付き合ってたから
結婚もあるんだろうな…
そう思ってた。



だけど将来を考えていたのは
あたしだけだったみたいで…



「好きな人ができたんだよね。
別れてくれない?」



あたしは振られた。



5年も付き合ったのに
別れはアッサリだった。



本当は



「イヤだっ!別れたくない!!」



って言いたかった。



でも、あたしは
2つ上ってこともあって



「そっか…その人と
付き合えるといいね?
幸せにね?」



総司の前で大人ぶって
こんな強がりを言った。



心の中じゃ、そんなこと
1ミリも思ってなかったのに。



結局あたしは総司の前で
泣くこともなく1人になっても
泣けなくて1年経った今も
あたしは泣いていない。



泣いたら負ける気がしたから。
 

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