私の好きな人。【完】

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今日はバレンタインデー。



そして茉央に無理矢理
参加させられた合コンの日。



そして…総司と別れた日。



去年の2月14日の前日
あたしは総司にチョコレートを
渡そうとガトーショコラを
作ることにした。



仕事から帰って来たあたしは
ヘトヘトになりながらも作った。



1年目はチョコレートマフィン。



2年目はトリュフ。



3年目は生チョコ。



4年目は焼きチョコドーナツ。



どれも美味しいって
喜んで食べてくれた。



ねぇ、総司。



今日は彼女からもらった
チョコを食べるの?



あたしが頑張って作った
ガトーショコラ
食べてほしかったよ。



「美味しい!」



って言ってほしかった。



あたしだけに見せてた
笑顔を見せてほしかった。



それも、もう彼女にしか
見せないんだね。



苦しいよ…総司っ。



PM:19時



約束の5分前に店へ着いた。



ドタキャンしてやろうと思ったけど
茉央の仕返しが怖かったので
諦めた。



「あの…予約していた
永倉ですけど…。」



あたしは予約してくれてた
“永倉”という、まだ見知らぬ人の
名前を告げた。



「永倉様ですね。どうぞこちらへ。」



店員さんに連れられテーブル席へと
案内された。



えっと…誰か来てるかな…?



「……っ。」



あたしは言葉が出なかった。



だって…だって…
テーブル席に総司が
座っていたんだから。



あたしが突っ立ていると
総司が、こちらを見た。



一瞬、目を見開いたが
すぐに笑顔になり



「久しぶりだね、優樹菜ちゃん。」



優樹菜ちゃん…。



付き合ってた時は“優樹菜”って
呼び捨てだったのに…。
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