Five Key

□Epi.3
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―――A.


どうしよう…
"ラルド"ってあの"ラルド"だよね…

僕あそこ嫌いなんだよね
どうしても行く気になれない
でも子供みたいな
ワガママ言ってる場合じゃない


「出発は明日にしましょう」
「陽翔さん怪我は?」


イチが心配そうに
陽ちゃんの身体に巻かれてる
包帯を眺めてる

そういうイチにも
塞がりきらなかった深い傷がある

僕にはまだ完全に治せるほどの
力は無いから仕方ないんだけども


「俺は大丈夫ですよ」


にっこり笑う陽ちゃん
それを見た蓮が
何故か陽ちゃんのお腹をガッて掴む


「い゙ぁ…ッ」
「何が大丈夫だ」

「…ッ普通傷口鷲掴みにしますか?」
「お前、自分が思うよりボロボロだよ」


冷たく言い切った蓮
どうして傷の具合とか見てないのに
わかるんだろう?
もしかして透視出来ちゃうとか?


「貴方だって腹に
 風穴空いているくせに…」


お腹を押さえながら
蓮を睨む陽ちゃん
イチはその二人を見てオロオロしてる


「じゃふたりでるすばんする?」


蒼ちゃんの言葉に
睨み合ってた二人は互いに目をそらす
なんであんな仲悪いんだろ…


「とにかく、明日出発しますから」


陽ちゃんはベッドから立ち上がって
部屋から出ていく
蓮も蒼ちゃんも続いて部屋を出て

僕とイチが残って


「…アンタは部屋戻らないの?」
「…ぇ、ごめんっ」


僕も部屋に戻った
追い出されたに近いけど…




.

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