Five Key

□Epi.5
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―――O.


レンが熱出したっていうから
冷やすモノってことで
とりあえず氷枕を持って
レンの部屋に戻る


「どうしよう…っ
 僕熱とかは治せないよ…」
「おちついて?」


レンの頭の下に
氷枕を忍ばせて
布団をかけ直して、と


「たぶんかぜだよ、かぜ」
「風邪?」

「レンっていちばん
 はたらいてるよ」
「あ、ご飯とかどうしようっ」

「ごはんはオイラがんばるけど」
「え、蒼ちゃん出来るの?」


失礼だなぁ
オイラ自分で釣った魚
捌いて食うんだからな?

で、とりあえず
レンが治るまでは
"鍵玉"探しはお預けだね

たぶんハルが
言うこと聞かずに
いろいろ調べてると思うけど


「そういやさ
 貰ったモノの中に絵本あったよね」
「えほん?」


みやちゃんと二人で
リビングに降りて雑談


「そ、絵本
 しかもタイトルが"黒い天使"なの」
「んぅ」


どこにでもあるような
絵本らしいタイトルだと思うけど?


「ちょっと気になって読んでみたの
 したらね、内容が暗いっていうか…」
「…?」

「"復讐"の話なの」


みやちゃんの話では

ある雲の上の国に
真っ黒な軍団がやってきて
その国の王子様と引き換えに
国は救われ平和になる

奴隷のような生活を強いられて
国を恨んだ王子様が
今度は真っ黒になって
国に復讐するっていう


「すんごいえほん…」
「ね、こんな絵本どうなんだろって」


絵本っていったら
ほとんどが幸せな終わり方をしてる
なのに、その絵本は
幸せとはまるで対極な結末


「どう思う?」
「…んぅ……」


みやちゃんに絵本を借りて
読んでみても無惨な結末で


「…"胸を貫かれた王子は
 哀れにも地上に堕ち
 永久にこの世を
 さ迷うこととなった"…」


最後の絵は
胸に大きな傷痕がある
黒い翼を広げた人の姿だった




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