Five Key

□Epi.6
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――O.


得体の知れない恐怖
感じたのは何年振りだろう?

まだ手が震えてる


「陽翔!!雅!!」


そうだ…
二人は襲われたんだ…

急いで駆け寄れば
二人とも首筋に切り傷があって
そこからの出血が酷くて


「レン、氷ッ」
「この場所は体温を
 かなり奪っちまうぞ」

「このままほっといて
 二人を死なせるよりマシだろッ」
「…ッ」


今レンと言い合っても
しょうがないのに

みんなを護れなかった自分に
どうしようもなく腹が立つ


「一体アイツは何なんだよ…」
「"Devilish Angel(デビリッシュ・エンゼル)"
 …知ってるか?」


ハルが首筋に手を当てながら
ゆっくり起き上がる


「あの封筒に烙印されてた
 紋章はおそらくそこのもの…」
「その、でびる…なんとかはなに?」

「俺の知識では
 巨大な裏組織、としか…」
「それとあの化物が何の関係が…」


あの化物はイチを探してた
でも見た目では
イチを判別出来てなかった

それはつまり
化物はイチを知らないってことで


でもあの封筒を見てから
イチは黙り込んでて


「わかんなぃ…」
「全く別物、かもしれないし
 とりあえず俺は
 あの文章の解読に専念するよ」

「待て
 雅には出来ねぇが…」
「…っ?」


レンがハルの首筋の傷を舐める
するとあら不思議
ハルの傷が消えてて


「…すげ」
「"契約者"じゃねぇ雅には
 やっても意味がない」

「ふしぎ」


何度見ても
ハルの傷は綺麗に無くなってる


「雅は…しばらく安静だな」


レンの氷で
傷自体は塞がってるけど
相当量の血を失ってるはずだから
それはハルもだけど


「今優先するのは
 文章の解読、
 それとカズの行方だ」
「レンわかんないの?」


レンは無言で首を横に振る


「感知しようがねぇんだよ」


それはつまり
イチには…


「イチには"魂"が見当たらねぇ」


そんなことが
本当にあるのかな
でもレンが言うんだから
きっと、そうなんだと思う


「…カズ……」


ハルの呟きが
いやに部屋に響いた




.

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