Divine Wind


□Episode.1
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カウンター席からテーブル席まで
客で埋まっている酒場。

もう一度言うが
今の時間帯は昼間。
逆になぜこんなにも
客が居るのか不思議な時間帯だ。


「ネロさんってしってる?」


アオイはカウンター席で
呑む男性に声を掛ける。
躊躇いは微塵もない。


「ァあん!?」


ダンッと空のジョッキを
カウンターテーブルに乱暴に置いて
アオイの方へ振り返った男性。


「ネロだァ?
 このおれがネロ様だッ」


勢いよく指差して
そう言い放った男性は
どうやら町に住む
占い師、ネロらしい。

もっとも占い師らしい
風格など何処にもなく
ただの酔っ払いと化しているが。


「ね、うらないし なんでしょ?」
「ァあ?占いなんざ
 クソ食らえだバカヤロー!!」


怒鳴るネロに
怯む様子はないアオイは
ふにゃと微笑んだまま。


「うらない、しないの?」
「おれァ二度と占いしねェんだよ!!」

「なんで?」


首を傾げるアオイの後ろ
背中側で乱暴に扉が開かれ
慌てふためく若い男性がひとり。


「今、町のいり、にッ」


慌て過ぎて
半ば何を言っているのか
聞き取れないのだが
アオイは聞き取ったらしく
サッと酒場から飛び出していく。


「まちのいりぐち…」





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