Divine Wind


□Episode.2
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「ハルが?
 つかまったの?」


目の前の少年に
聞き返すアオイ。
普段魚の死んだような目を
している彼の目は
目一杯開かれている。

"Tran"の街や
滝が流れる洞窟で
ハルの身のこなしを
見ていたアオイには
信じがたいことである。


真っ赤なパーカーに
サスペンダー付きのカーゴパンツの
桜色の髪をした少年は
こくっと頷いて


「嘘なんかじゃないよ」


そう口にした。


この高い高い壁の向こう側に
ハルが捕らわれているなど
どうしても信じられないアオイは
おもむろに塀によじ登った。


「ちょっ
 政府軍の基地だぞ!?」


少年は思わず叫ぶ。

それもそのはず。
ここは政府軍、
つまりはこの世界の
警察にあたる組織の基地の塀に
よじ登って上に立ったのだから。

見つかりでもしたら
ただでは済まない。


「あ、ハル」


だがアオイには
そんなことはどうでもよくて
塀の中で十字を模した木に
縄でくくりつけられた彼を
その目で確かめたかっただけなのだから。


「ハルぅ」


アオイは捕らわれの彼の
名前を呼ぶ。
結構大きめの声で。

ハルはその声に
項垂れていた頭を上げる。


「は…?」


霞んだ視界に
蒼い着物が入る。
状況が理解出来ずに
開いた口が塞がらないハル。

アオイはすとんと
塀の内側に降り立つと
ハルの元まで歩いて近寄っていく。


「ハルだぁ」


ふにゃりとした笑顔で
ハルの縄を解きにかかる彼に


「何のつもりだ」


低く地を這うような声色で
問い掛けるが
アオイは聞く耳を持たない。


「てめ…、何してんだっつの」
「なにって
 ハルたすけにきたの」


アオイはさも当たり前のように
しれっと言い放ちまた微笑む。




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