Divine Wind


□Episode.2
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ハルを縛る縄を解きながら
アオイは問い掛ける。


「なんでつかまったの?」


ハルぐらいなら
簡単に逃げられるでしょ、と
付け加えて。


「御前には関係ない」


そっぽを向くハルの
顔や身体は傷だらけで


「ハルってよくけがするね?」
「うっせぇ」


ハルは不器用なせいか
呪文の類が一切使えないのだ。


「何をしている!!」


遠くから聞こえた叫び声に
ハルは溜め息をつく。


「ほら、見つかった
 さっさと逃げな」
「やだ」

「馬鹿か御前
 政府軍だぞ?
 いくら御前でも敵うかどうか…」


ハルの縄から手を離して
少し距離を取って


「ね、ハル
 ここからハルをにがしたら
 オイラといっしょにきてくれる?」
「は…?」

「ハルを連れて帰る」


そう言うと
アオイは腰の愛刀を
鞘から抜いて
遠くに構える政府の兵隊に向き合う。


「御前…」


待ち構える兵隊は
ざっと見えるだけで100はいる。

それを一人で
相手に出来るのか。


「無謀にも程があるよね」
「今度はガキ?」


真っ赤なフードパーカーを着た青年が
蒼い着物の袖を引っ張る。

どうやって入り込んだのかは
彼にしか分からない。


「ハルさん
 必ず助けに来ますから」


青年はなんとアオイを抱えて
ひらりと舞うように
塀を越えて外へ出て行くではないか。

さすがにアオイもハルも
兵隊たちも目が点になった。





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