や
□T:平穏な日々
1ページ/1ページ
「あすーっ!!」
「なにー杏ちゃーん」
「今からピアノ?一緒にいこう!」
「いいよー」
私、鈴村杏と、柊あすか。
私たちは、幼なじみ。
保育園の時からの知り合いなんだ。
小学校も一緒で、習い事も一緒にしている。
それなりに、仲はいいつもりだ。
私たちは、お互いがお互いの一番の友達ってわけじゃないんだけど、暇があれば会って話したり遊んだりしていた。
要するに、普通に、大切な友達の一人なんだ。
「杏ちゃん、」
「んー」
「見てみてっ」
「なにー?」
見せられたのは、イラストだった。
それも、顧問そっくりの、ハゲ面だった。
「ぶふっ!!」
「どう、どう?」
「もう、なによこれー!!似すぎ!!上手い!!」
「でしょでしょー、渾身の出来なんだから〜」
あすは、ちょっとおっとりしてるけど明るくて、勉強もできる。話すと面白いし、可愛い。
あすは、言うまでもなく人気者だ。
私も、そんなあすが大好きだった。
「あすはバカだねーっ」
そう言って、みんなで盛り上がるのが日常だ。
あぁ、そういえば。
今年から中学生になり、なんと、同じ部活に入部した。
これから3年、一緒に過ごす。
わたしは、そんな未来をとても楽しみに思っていた。
それは、明るく、キラキラ輝くような中学校生活。
未来を疑うなんて、
考えられなかった。
.