恋
□白いカーテン
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うちは、わがままを言って、
最後の二ヶ月は好きなように生きさせてもらうことにした。
うちには、タイムリミットがある。
それでも、今を精一杯生きると決めた。
まずは、学校に通う。
友達を作らなきゃ…
*
うちがクラスのドアを開けて、
「おはよう!」
と、大きな声で言いながら入っていくと、賑やかだったクラスが突然しん…、とした。
失敗したかな…
でも、頑張らないとだもんね…。
うちが悶々とひとり考えていると、いつのまにかみんなの視線が集まっていた。
え、どうしよう。
「もしかして、朝霧?」
ひとりの男子が、声をあげる。
その男子が言った朝霧は、確かにうちのことだった。
うちの名前は、"朝霧 悠里"。
「そうですっ!うち、ずっと休んでたんだけど…やっと退院して、戻ってきたのっ!!」
みんなに聞こえるように声をはる。クラスは、少しざわついて、じりじりとこちらに近づいてきた…。
「え…な、何…?」
「悠里ちゃん…」
「あ、はい…」
ひとりの女の子が話しかけてきた。
「……退院、おめでとおおおおおおおおおおぉ!!」
え…。
『おめでとおおおおおおおおおおっ』
みんなも、クラス中に響く声で祝いの言葉を渡してくれる。
なにこれ…
うちは、高校に入学してから一度しかクラスに来れていない。みんなの名前すら、覚えていない。
それなのに…。
ぽろっ
はらはらはら…
「あ、あぁ…わあぁぁあぁん」
「おえぇっ!?」
「どうした!?」
「朝霧ちゃん大丈夫!?」
「あぁああぁぁん、も、やだあああぁあぁ」
うちは、泣きじゃくった。
クラスの温かさに驚いた。
覚えていてくれた事が嬉しかった。
これから、ここに来れることが本当に嬉しかった。
そして何より、
こんな温かい所にいられる時間が、2ヶ月しかないことが、悲しかった。
「悠里ー」
「朝霧ー大丈夫かー!?」
「ちょっと、あんたが泣かしたんじゃないの!?」
「…ぉええっ!?俺かよ!!」
「そうよ!!謝んなさい!!」
「えぇー…、まあしゃあねぇな…」
いまだ泣きじゃくるうちを横目に、クラスメート達が話を進めていた。
「あー…っと、朝霧?」
静かに、声が降ってきた。