□白いカーテン
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外はもう夕焼けで、真っ赤に染まっていた。

病院のまえで、神谷を待つ。


少し待っていたら、神谷が息を切らしてやってきた。


「…ごめん、待たした。」
「大丈夫だよ。こっちこそいきなり呼び出してごめんね」
「いや…」


神谷は、俯きがちにはなす。
初め会ったときみたいに、前髪が流れて表情が見られない。

無言のまま、時間だけが過ぎる。

「………」
「…………」
「……話す、ね。」

うちは、丁寧に、一言一言紡ぎだす。

「うち、うちね…」

言え!!

「神谷のこと、好…」
「言うな!!」






…どうして……?

訳わからない。

「お願いだから…言わないでくれ…。」
「な…んで…」

涙が、出そうだった。
振られるのは覚悟の上だった。
そこまでは、期待していなかった。
ただ、気持ちだけは伝えておきたいと思った。
それが、伝えることすらできないなんて…。

「わ…けわかんないよ…」
「……」
「なんで……」

「……」

神谷はひたすら黙り続ける。
前髪で、表情が読めない…。

「うちは…どうすればいいの…?」

わかんないよ…
伝えさせてよ…

時間が、無いんだよ!!









「……死ぬなよ…俺だってお前が好きだよ…」







「…………え?」

どうして神谷が知ってるの?病気のこと。






「……好きなんだよ…。でも…俺にはお前を助けらんねえし…」






神谷の声が震えている。


泣いてるの…?







「……死ぬなよ………!」

「…神谷…」

「…死ぬな!!」



強く、抱き締められた。
腕が折れそうなほど。
心臓がつぶれそうなほど…。

「神谷…」
「……」
「…好きだよ…」
「…馬鹿野郎…」
「ひどっ!!」
「…俺だって、好きだよ…」


痛いよ。
嬉しい。でも、その何倍も

胸が痛い…。

うちだって









「生きたいよ……………」
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