れもんてぃー

□1杯。
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「知念ーっ!買ってきたよー」



昼休みの賑やかな部屋。

友達の中島の声が、教室に鳴り響く。


あいつの両手には、レモンティー。



「え?なに、いじめ?」


「えっ、なんでっ?」



なんで、て…



「俺、レモンティー飲めないんだけど」



不思議そうな顔をしてる中島に言うと、彼は一瞬でその綺麗な顔を歪ませた。

やっちまったー!、的な?



「完全に忘れてただろ。絶対」


「ごめん、本っ当にマジでごめん!」


「別にいいけどさー」



勢いで受け取ったペットボトルを見つめて言うと、中島は慌てて言う。



「いま買ってくるから!ちょっと待っててっ」



そうやって、教室から駆け出そうとしてる。



「あー、いいよ。そんくらい自分で行くから」


「や、でも…」


「買って来てもらったんだし、別に中島は悪くないから。な?」


「う、ん…」



納得いかないって顔をしてるけど、うん、て返事を貰ったわけだし。



「じゃ、買ってくるから」



そう言って廊下に行こうとしたのに、中島の声が俺を引き留める。



「待って!俺も行くっ!」


「…なんで?」


「なんでも。よし、行こう!」



なんて言いながら前を歩き始めた。

よくわかんないけど、まぁ いっか。


そう思って、中島のあとを追って教室を出た。




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