いっしょ。
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横になってる俺の隣には、驚いた表情のやまだ。
「なんでそんなに驚いた顔してんだよー」
なんて俺が笑って言えば、やまだは真剣な顔つきで言ってくる。
「あ…、たり前だろ…っ?なんで、いきなり…」
眉間にシワを寄せて笑う、動揺を隠そうとしておかしい表情のやまだ。
「いきなりじゃない。この前、母ちゃんが倒れたときに言ったじゃんか。転校する、って」
「それはそうだけど…!」
「ただ、それが明日になっただけだよ。たまたま、いま言うしかなかっただけだ」
「………っ」
なんで、こいつはこんなに悔しそうなんだろう?
自分のことじゃないのに。
俺がいなかったときの生活に戻るだけなのに。
それだけ、やまだのなかで俺の存在が大きいなら、嬉しい限りだ。
目線を外してたやまだが、はっきりと俺を見たとき。
俺は、不思議とやまだの言いたいことがわかったんだ。
「だいちゃん…。俺、」
「言わなくていい」
「え…?」
「どうせ、今日のことだろ?隠してること、ぜんぶ俺に話してくれようとしてるんだろ?」
「う、ん…」
やっぱり。
やまだは、ぜったいにそうすると思った。
けど…、
「やまだが“言いたい”ときは、今じゃないだろ?今は、“言わなきゃ”、って思ったんだろ?」
「………」
「だったら、言わなくていい。やまだが前に俺に言ってくれたみたいに、俺もやまだが言いたいと思えたときに言ってくれればいいよ」
本当は、聞きたい。
ぜんぶ知りたい。
やまだの本当のこと、ぜんぶ。
でも、それじゃダメなんだ。
せっかくやまだに会えたのに、なにも成長しないなんて、哀しいし。
やまだから教わったこと、ちゃんと心に留めておくから。
「もう遅いし、寝ようぜっ」
黙ったままのやまだに、そう言ってきちんと布団を被る。
「…だいちゃん?」
「うん?どうした?」
「…いっしょ、に寝てもいい?」
「え?あぁ…、うん」
俺がそう言うと、静かに俺の布団に入ってきたやまだ。
向かい合ってるからか、なんか変な感じがする。
「…おやすみ」
「うん、おやすみ…」
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