いっしょ。
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だいちゃんがこの街からいなくなってから、早くも1年が経過していた。
秋口のこの季節。
半袖でいるには、少し寒くて。
だけど、長袖をそのまま着るには、まだ暑苦しかった。
長袖のYシャツを捲って、学校に通う日々。
勉強はそこそこ。
もっぱら、バイトし続ける毎日になっていた。
勤務先は変わらず、卒業した薮くんと共に働き詰めの俺。
俺も卒業したら、きっとこのまま就職するんだろうな。
夕暮れ前。
みんなと学校を出ようと下駄箱に向かう。
今日も、バイト。
そういえば1回だけ、だいちゃんにとめられたっけ。
結局そのあとに何もないからずっと続けてるけど…、
だいちゃんが本当に辞めてほしいと思ってくれてたなら、辞めた方がよかったのかな?
だけど、帰ったときに笑ったあのだいちゃんを思い出すと、そうでもない気がしてならない。
「…だいちゃん、元気かな?」
ふと、思い出した先に小さく口に出ていた言葉。
何も連絡がないのは良い知らせだ、とよく言うけれど。
こんなにもパッタリなのも悲しい。
みんなが落ち着いたら、会いに行こうかな。
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