満月の夜。
□1夜。
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塾帰りの夜道。
音楽をイヤホンで聴き流しながらひとりで歩く。
今日は満月。
なんとなく不気味で、無意識に少し早足になる。
ついさっき…、5〜6時間前まではふたりで肩を並べて歩いていたこの道も
今は、ただ蒸し暑いだけだ。
あいつの家を通りすぎ、すぐ隣の自分の家に入る。
「…ただいま」
物音ひとつしない静かな部屋。
いつも通りなら、そうだった。
けど、今日は…
「おかえりー」
物音どころか、明るすぎる返事が聞こえた。
とりあえず、電気を点けて現状を把握。
こいつは…、
「…だれ?」
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