†ヴァンパイア騎士†

□第一夜
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-私立 黒主学園-

宵の刻、【月の寮】前

この全寮制の名門校、黒主学園には普通科、デイ・クラスと 夜間部、ナイト・クラスがある。
普通科と夜間部は昼と夜を分けて一つの校舎を共有していて
クラスが入れかわる夕方のこの時間はいつもちょっとした混乱状態になる。
普通科の生徒が大騒ぎする理由、それは……

ナイト・クラスがエリートの集団であり美形の集団だからである。

「はいはい、下がって! デイ・クラスの皆さんはもう門限ですから陽の寮に戻ってください!」

デイ・クラスの生徒がナイト・クラスの人たちの邪魔をしないように
みんなを誘導しているのはこの黒主学園の風紀委員、黒主優姫
この黒主学園の理事長の娘だ。
いつも元気だけれど、さすがにこの人数を一人でまとめることは出来ない。
だからもう一人風紀委員がいるのだけれど、まだ姿を現していないようだ。

「優姫、頑張ってね」

「如月先輩! はい、頑張ります♪」

如月魅姫、夜間部の生徒の一人。
優姫より少し明るい茶色でウェーブのかかった髪、透き通るような白い肌。
夜間部の生徒なのだからもちろん成績優秀。
けれど、他の夜間部の生徒とは違うところが1箇所だけある。
それは、普通科の生徒に気軽に話しかけるということ。
そのため、男女関係なく普通科の生徒から人気が高い。

「いつもご苦労様」

「枢センパイ!!」

続いて目の前に現れたのは夜間部のクラス長であり
【月の寮】寮長でもある玖蘭枢。

「あんまり無茶はしちゃだめだよ、優姫」

「大丈夫です、体力だけには自信ありますから!」

「頼もしいね」

枢が優姫に触れようとした瞬間、優姫と枢の間に人影が現れた。

「少し出てくるのが遅いんじゃないかな?……錐生くん?」

「零!」

「もう授業始まりますよ、玖蘭先輩」

遅れてやってきたのは優姫と一緒に風紀委員をやっている普通科1年、錐生零。
目つきが悪いとかで普通科の生徒は自ら近づいたり話しかけたりはしない。

「それじゃあ優姫、頑張ってね」

「はいっ!」

夜間部の生徒を引き連れ校舎に入っていく枢の背中が見えなくなるまで見つめる優姫。
そんな優姫を零は複雑な表情で見つめる。

「優姫、お前があいつに好意を寄せるのは勝手だが、わかってるよな?」

「……わかってる"あの人たち"とは違うってことくらい」

見た目麗しい彼ら夜間部は、ただのエリートの集団ではない。
普通科の一般生徒が知らない秘密、彼らは全員【吸血鬼】だということ。
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