Bkts.

□しっかり見てます。
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「おはよぉぉぉぉぉっっ!!!!」

ガバッ←明久に飛びつく音
ペチンッ←明久とハイタッチする音

「ぉおっと、今日も元気だねーあかねは!」
「うん!私、元気なこと以外取り柄ないしねー♪」
「えー、そんなことないと思うよー?あかねは素敵な女の子だよー!!」
「おい明久、あかねを口説くんじゃねぇ。おかげで後ろがすごく殺気立ってるじゃねぇか。」

雄二がそう言うので後ろをみてみると、瑞希と美波が恐ろしい。
2人とも明久が好きなのに悪いことしちゃったなぁー。

『ちょっとアキ?』
『明久くん?』
『なんで僕がぁぁっ!?』

ごめんなさい、明久。

「大変じゃのう…。あかね、おはようなのじゃ!」
「ん、秀吉おはよ!今日も輝いてるね! っとぉ…ムッツリーニもおはよ!」
「………おはよう。」

私がわざわざ変なことをたくさんする理由。
それはムッツリーニの視界に入りたいから。
ムッツリーニはいつもカメラばっかし。ちっともこっちをみてくれない…。
そう、私はムッツリーニが好き。だから少しでも気を引きたいの。

「…………。(ガタッ)」
「お、ムッツリーニ、どこへ行くんだ?もうすぐHR始まるぞ?」
「………すぐ戻る。」

(ちょっと気になる。)


 ― ―― ―――


2時限目で悲鳴をあげていた私のお腹に朗報!
ついにお昼の時間がきました。

「お昼キタ━━!」
「天気もいいですし、皆さんで屋上で食べましょう!」
「それはいいのう。」
「んじゃ、屋上いこう!!」

いつものメンバーで屋上で食べることになりました。
(私はちゃっかりムッツリーニの隣をゲット)
いやぁお腹すいた!はやく食べよ食べよ!

「ウチ、今日少し作り過ぎちゃって…よかったら食べてくれないかしら、アキ?」
「え、いいの?じゃあ遠慮なくいただきま」
「はいアキ、あーん」
「す…ってええぇぇえぇ!?」

うーん、美波ちゃんって大胆…もぐもぐ。
私もいっそ、そのくらい大胆になってみようかな…もぐもぐ。
そうすれば、ムッツリーニの視界にも入る、もしかしたら意識してもらえるかも…もぐもぐ。
なーんて。もぐもぐ。

「美波ちゃんズルいです!明久くん、私のも一口どうぞ?」

 明 久 が 死 ぬ 。 

「おぉっとぉ!!?あかねのそのハンバーグ美味しそうだねっ!!一口もらおうかなっっ!!!!」
「えっ?あっ?う、うん!?」

瑞希に声をかけられた瞬間きっと生命の危機を感じ取った明久は
私がお箸にさしていたハンバーグをひょいと自分の口の中にいれた。
あぁ、私のハンバーグが…。

「………ちょっと飲み物を買ってくる。」

隣に座っていたムッツリーニが腰を浮かす。

「そうか、なら俺はコーラを頼んだ。」
「ワシは紅茶を頼んだぞい。」
「………別にみんなのを買いに行くわけじゃない。」

なんか様子がおかしい…?
しかもこれはちょっぴり大胆になるチャンス?

「わわわわっわ私も行く!」

ムッツリーニが扉の向こうへ行った頃、私もいそいで後を追う。


「………なんでついてきた。」
「えぇっと、あっ!ほら!私も飲み物買いたかった!」
「………そんなのみんなと同じように俺に頼めばよかった。」

そんな人気のない裏庭での会話。

「って、ムッツリーニ飲み物買ってないじゃんー!」

きっと今の私はどもってる。顔も少し赤いと思う。
変に思われてないかな…?

「………俺は別にいい。」

ん、どういうことだ?

「じゃあなんで出てきたの?」
「………きまぐれ。」

もっと他に理由があるはず、だよね。
そういえばここ最近なんだか様子がおかしかったし。
ここは、悩みを聞いて親密になろう!

「…なんかあったら話聞くよ?なんでも相談して!」

「………じゃあ、もし好きな人が他の人と話してたらどう思う?」

恋、かあ…。
告白もなにもしてないのにフラれた気分…。
そうだよね、高校生ですし好きな人の1人や2人いるよね…。
あ。2人はそうそういないか。
でも、せっかく話してくれたんだし、しっかりと相談にのってあげよう。

「そうだなぁ、話してる人が羨ましいかなぁ?」
「………それだけ?」
「ん?かなぁ。」
「………そうか。付き合ってもないのにすごくイライラするしその場にいたくないってのはやっぱおかしいのか。」
「どうだろうね。でもそこまで想ってるなんて嬉しいことじゃない?羨ましいなぁ。」

最近すぐどこかにいってしまうのはこのことだったのね。
ってことは瑞希とか美波、かなぁ?
さっきも明久にあーんしてる時にここにきちゃったし。

「………朝、みんなに笑顔であいさつしているのをみると独り占めしたくなる。」
「…うんうん。」
「………その相手が幼馴染であろうと抱きついてるのをみるととてつもなくイライラする。」
「……。」
「………使った箸でハンバーグを食べるなんてもってのほか。」
「…………ま、まさか…。」

まさかのまさかのまさかのまさか……。

「ムッツリーニの好きな人って……。」

この話の流れからいくと、絶対そうだよねぇ!?

「…明久が好きなの?」
「…………。」

やばい、これって図星…?
で、でもそういうのも悪くないと思うよ、うん!

「………ほんと、バカ。さすがFクラス。」
「え?」
「………なんでわかんない。」
「明久じゃないの?」
「………男に興味ない。」
「うん?じゃあどういうこと?」

私が不思議に思っているとほっぺたに何か柔らかくて暖かい感触があった。
気がつくとムッツリーニはもう自動販売機に向かって歩き出していた。

「………鈍感すぎは困る。俺が好きなのはあかね。」

いったい、今、何があったの…?

「………頼まれたの買いに行く。あまり遅いと不思議に思われる。」

 


いやいや、私はこの状況が不思議です。

 

 


(いま、ほっぺたにキス、されたよね?)(そのあと誰が好きって言った?)(………あかね。)(わ、私……!?)

 

しっかり見てます。

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