Kmbk.

□おうちデート
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パチクリ。
目を覚ますとそこには顔の整った人が3cmくらいの近さでいた。
私は始め、どちらだろうと思った。
だけどその答えはすぐに出た。
少し長い前髪、髪の毛。長い睫毛にキリッとした目。
これはきっと私の彼氏の、

「朝からなにをしているのかな、祐希くんは。」
「かわいい彼女を見つめていました。」

浅羽祐希くんである、と。


「どうですか。大好きな彼氏さんが目を覚ましたらすぐそばにいた、なんて素晴らしいことじゃないですか。」
「そうだけど、さぁ…。」

あの後、退いてもらい(説得するのに時間がかかった)
私は顔を洗って、着替えて、朝ごはんの準備をしている。
祐希くんはというと、キッチンの方を向きながら紙パックの野菜ジュースをちゅーちゅー飲んでいた。

「だけど……?」
「……はいはい幸せです!」
「うん。」

納得したような笑顔で(他人から見たら無表情)頷いた。
あぁもう、私はなんてこんなに祐希に甘いんだろう。
きっと祐希から甘くさせる何かがでているのだろう。それできっと悠太も祐希に甘いんだ。

「あかね、今日お母さんは?」
「ん、もうすぐ帰ってくるって。だから、今日はどこか行こうか。」

私の家は3人家族。
でもお父さんは2ヶ月の単身赴任中。お母さんは仕事でたまに帰ってこない。
お父さんの単身赴任とお母さんの忙しい時期がちょうど重なってしまい、今は半1人暮らし状態。

普段はお母さんもいない時が多いので祐希と私の家でゴロゴロしているのだが
今日は帰ってくるということなので外にでよう。あんまり2人でいる所をみられたくないし。

「ん、わかった。」
「じゃあご飯食べたら行こうか。ご飯できたよー。」
「やったーお腹すいたー」

フレンチトーストができあがると祐希はスタタと席についた。

「あれ、食べてなかったの?」
「食べたよ。でもお腹すいた。育ち盛り。」
「えー、もっと大きくなるの?これ以上身長差広げないでよー。話すとき首が直角になるよ」

私も席について、いただきます。

「うん、あかね、おいしいじゃん」
「あったりまえよ」
「これなら安心して僕のお嫁さんになれますね」
「ん、うん…」
「あっ顔赤い」
「うるさいなぁ」


そんなこんなで食べ終わり、出かけることに。

「じゃあ行こっか祐希ー。どこ行く?」
「え、あかねその格好でいくの?」
「そうだけど?」

あれ。祐希くんは私の最高のお洒落をわかってくれないようで。

「やだ。今日はお出かけ中止。」

プンッ。 そう言って祐希はせっかく玄関まで来たのにリビングに戻ってしまった。

「ちょっ、祐希ー?」

私も履こうとしていた靴を置き、リビングへ向かう。
祐希はソファに座ってた。

「なんでよ祐希ー。お出かけするからめいっぱいおしゃれしたつもりなんだけど」
「だーめ。あかね、きて」

祐希は手を広げた。
え、祐希の上に座れってこと?
そうやって聞くと、うんうんと頷いたのでしかたなく祐希の上に座った。

「ねぇなんで中止なの?」

祐希は私の肩にあごを載せて答えた。

「そんな短いスカートなんて駄目だよ。他の男にいっぱいみられちゃう。」
「そ、それだけ?」
「……他の男にあんまみられたくない。オレだけのあかね。…みたいな。」

きっと最後まで言って恥ずかしくなったのだろう。
さっきまであごを載せて話していたのに今度は顔をうずめた。
そんな祐希がかわいいわけで。

「…じゃあ今日も?」
「おうちで、デート。」
「はいはい。」

やっぱり祐希に甘いな、私。


でも今回はちょっと嬉しかったから、なんて特別な理由。




(ただいまーって、あれ!祐希くん!)(ハッ、おか(あ、お久しぶりですお義母さん)ちょっ、えっ)
(んもぅ今すぐ結婚しなさいよー!私は大賛成よ!本当に祐希くんがあかねの彼氏で良かったわー!)(嬉しいです。でも僕らまだ学生なんで、卒業してから、)


(こうなっちゃうから出かければよかった)

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