短編2

□かまぼこは魚からできていますか?
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 目覚めるまでのまどろみは、一瞬で終わった。

 眠っていたのに座っていた。下半身に違和感があった。妙に寒くて自分の体を見てみたら、何も着ていなかった。最低でもパンツは身に付けていたはずなのに。そして、服の代わりに、手錠。オレの手を後ろにまとめて拘束していた。
 ずん、と熱い何かの突き上げ。


「んっ、う、アッ!? …え、あっ、な、ウソ、…っなに、なんだ、これ、っ!」


 尻の穴に突き刺さる何か。たまにネットのあっち系の広告で見かける「騎乗位」の形で、オレを突き上げてくる。

「――あ、目、覚めた?」

「ッッ!?」

 後ろから聞こえてきたのは、毎日聞いている声。ここにいてほしくない奴の声。聞こえると同時に、背中を支えている手の存在に気付く。
 懸命に後ろを振り向いて、誰がいるか確かめる。そして羞恥に死にそうになった。

「…っ、なん、で!? んっぁぐ、モモ…っ」

「今からお兄ちゃんのこと、いっぱい気持ちよくしてあげるからね」

 オレの質問に答えず、モモは乳首を摘まんできた。ビリリッ、と強い刺激が広がる。
 状況が飲み込めないながら喘いでいると、ドアが開いた。母だろうかと覚悟しながらそちらを見て、思わず目を見開く。

「様子はどうですかー……って、起きたんですねご主人! お目覚めはいかがで?」

「ひぅっ、ぁ……さい、あくに決まってんだろ、エネ…!」

 青い髪と目、服。ニヤニヤした顔。間違いなくエネだ。どうして三次元にいるんですか。
 ビクビクッ、と尻の何か――恐らくバイブが、体積を増した。突き上げが激しくなる。思うが、このリアルさは何なんだ。まるで本物の性器だ。

「ぁ、ひっ! な、なに、熱いの…っ、や、やだああっ!?」

「私がネットで見つけた玩具ですよ! 透明でナカが見えることや、固くなったり大きくなったり熱くなったりすることや、擬似精液を出すことで人気です。通販しました!」

「だいじょうぶ! 支払いは私だから!」

「ぜんっぜんだいじょ、ぶじゃ、っああアァァッ!? や、おっきく…ッ」


 擬似精液とやらを出して小さくなっていたバイブが、また大きくなった。また突き上げが始まる。動きが速い。
 そしてオレの絶頂も早かった。

「あ゛っアァァーーーッッ!!」

 意図せずバイブを締め付ける。するとバイブは痙攣を始めた。しまった、と思ったときにはもう遅い。

「んはああァァああッッ! やだ、ぁっ、また…っ、ひっや、ああッ」

 エネがバイブを引っこ抜いた。これで、終わりだろうかーーそんなことはなかった。
 痛い、きもちいい。性器にそんな刺激がきた。涙でかすんだ視界で確認すると、金属の棒が突き刺さっていた。根本まで埋め込まれている。嫌な予感しかしない。
 エネがクルクル回しながら、棒を抜き差しする。尿道を引っ張られる感覚に、また声が漏れる。とん、とモモに押されて仰向けになる。

「お兄ちゃん、大丈夫かな。お尻とか壊れたりしない?」

「だーいじょうぶですよ! 媚薬飲ませたので!」


 モモ。心配するなら今すぐ止めろ。


 モモは微笑してオレを見て、棒の先端に指を置いた。着ている服の「無理強い」の字を見ても笑えない。


「私もエネちゃんも女の子だから、お兄ちゃんに熱いのを突っ込めないけど。……その分、玩具で気持ちよくしてあげるから」


 ね? と言われたが、頷けるわけがない。
 モモの指が動いて、カチリと棒が鳴る。途端にそれは、オレの性器の中で暴れだした。今までの中で一番強い刺激に意識が飛びそうになる。快楽を流そうと身を捩るが、無駄だった。腰が何度も跳ねて、手錠がガチャガチャ鳴る。


「や、はああぁッッッ! ひ、っあ、ふあああっ! ら、め…ッ壊れ、るっ」

「…壊れちゃえばいいんです」


 そうして、私達だけのものになればいい。


 そう言ったエネの言葉も、半分くらいしか聞こえない。出口が塞がっているゆえに精液を散らせなくて、気持ちいいのに苦しい。

「や、だぁ、っくあぁッ、イか、せて、っあぁ、」

「……どうします?」

「…………いいんじゃないかな?」

 りょーかいです、と、エネが勢いよく棒を抜いた。

「っん、ぁ、ひあああぁぁーッッ」

 結局、どうして二人がこんなことをしたのか分からないまま。
 オレの意識はぶっ飛んだ。



* * *



「――ねー、エネちゃん」

「なんでしょう? 妹さん」

「お兄ちゃん、絶対分かってないよね。私達がなんでこんなことしたのか」

「あー……朴念仁を地で行く人ですからねえ。どうして伝わらないんだか」

「…まあ、その朴念仁に分かるように『好き』って言ってないからだけどね」

「ですよねー。今度するとき言いますか」

「だねっ。次はいつするの?」

「私もいつでも三次元に出てこれるわけではないですからね……早くても二週間は時間がかかります」

「そっか。じゃあその間、しっかり準備しとくね!」

「ハイ! よろしくお願いします!」



END.







* * *
全裸で始まり気絶で終わる。随分アレな感じになってしまった気がします。シンタロー、女の子に襲われちゃうなんて。タイトルはカマトトの語源(?)から。
カノン様のみお持ち帰りOKです。書き直し受け付けます!

 

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