短編2

□あったかい両手、このままで
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 思春期の女子というモノにはやたらめったら異性を意識する傾向がある。高い所の物を取ってもらってときめいたり、幼馴染みとギクシャクしだしたり。フランクに接しているように見えても内心どこかで意識していることが多い。まあ、やたらセクハラだと叫ぶ妙齢の女もいるが。
 思春期の男子というモノもやはり、やたらめったら異性を意識する。そして変にカッコつけたがる奴がなかなか多い。
 とにかく。何が言いたいかというとつまり。意識するのは「異性」だということだ。


「……とするとやっぱりオカシイ。オカシイぞオレ……」
「え? え? 今更自覚したんですか? あとゲンドウポーズやめてください似合わなすぎて笑えて腹筋がヤバイので」
「シンタロー……病気? 大丈夫?」


 目の前で笑いを堪えるエネと隣で真顔で心配してくれるコノハの温度差のせいで、鳥肌が立ちそうだ。
 ただいまアジトにいる人数は四人。オレ、エネ、コノハ、カノ。熱を出して自室にいるカノ以外はリビングにいる。


「悩んでないで看病したらいいじゃないですか」
「いや、でもな……うう」


 熱で寝込んでいるカノを看病したいのだが気恥ずかしくてできないでいる。うだうだと悩んでいるうちに思考は最近の自分について、に飛んだ。
 最近のオレはちょっとオカシイのだ。いや、ニジオタコミュショーヒキニートに加えメカクシ団所属という時点でオカシイのは解りきっているが。
 カノやセトにかわいいだなんて言われたら顔に熱が集まるし、食器受けとる時に指先が触れあったら心臓が酷いことになる。隣にいられると身体中が沸騰する。
 二人が女なら「思春期特有の異性をやたらめったら意識するアレ」――つまり冒頭のアレで終わる。だが二人とも男だ。「やたらめったら同性を意識するアレ」だとは認めたくない。性癖がアブノーマルだと認めているようなもんだ。


「私妹さん達のとこに行きます!」
「あ、僕も。シンタロー、これで恥ずかしくない?」
「いやオレは第三者がいると恥ずかしくて看病できないわけじゃ――おいエネおもしろがるな!」


 これ食べて元気出して、とコノハからネギマを渡される。どこから出した。
 破裂した嵐のように消えたエネと、突如発生した嵐のように去っていったコノハを見送り、ネギマを食べる。ネギマそこまで好きじゃないけど、気持ちがおいしい。


「……でも様子見るくらいした方がいいよな……」


 いくら恥ずかしいからって。さすがにカノが可哀想すぎる。
 氷嚢作ったりお粥作ったり薬用意したり――は、看病感満載で恥ずかしい。だから、「別に看病する義理はねえけど様子は見に来てやったぞ感謝しろ。何かしてほしいことあったら言えよな」という台詞を口の中で練習しながら、手ぶらでカノの部屋へ向かう。
 目に見えすぎなくらい震える手でノック。返事がないから屍になってるんじゃないかと焦ったが、扉が開いた。


「お、おい、熱あんだろ無理すん、な…………あれ?」
「いっやあホントまじでゴメンね、騙して」


 目の前に立つカノは予想外にピンピンしていた。顔色も声もいつも通り。あれ、熱は? と混乱するオレを引っ張って部屋に入れる。中にはなぜかセトもいた。


「セト、バイトなんじゃ……?」
「実は今日は休みっす」
「は? 二人してなんで……」
「シンタロー君、僕らのこと好きだよね? ラブ的な意味で」


 オレの手を引いて歩くカノは部屋の真ん中で立ち止まった。壁際に立っていたセトがこっちに来る。二人とも妙に笑顔だ。オレはというと、いきなりの質問に頭がこんがらがっていた。
 やたらめったら同性に反応しちまうみたいだけど、イコール二人を好きだということにはならない、はず。しかしセトが引き継いだ言葉でその考えを崩される。


「シンタローさん、俺とカノに顔真っ赤にするっす。コノハさんにはしないのに」


 あ、確かに。同性じゃなくて二人が好きなのか。納得。いやでも好きな奴が二人って。
 カノに肩に手で圧力をかけられ、腰を下ろす。尻にスプリングの感触。次に押されて後ろに倒れこんでしまった。この状況は一体。逆光のせいか、カノの笑顔が怖い。セトに後ろから上半身を起こされ、抱えられる。今のオレはセトにもたれてカノにのしかかられている、という謎の状況だ。


「僕とセト、どっちがいいか選べないみたいだからさ。手伝おうと思って」
「は? なん――……っ」


 べろん、とシャツを捲られた。自分でも情けないくらいに白くてなまっちょろい腹とか胸が露になって、泣きたいし恥ずかしい。何か危害を加えられるんだと思い当たって身を捩るが、まあ、ひ弱な体では男二人には敵わない。一人でも敵わなかったろう。


「さすが、真っ白だね」
「じゃあカノ、手はず通りに。俺は上をやるっすから」
「わかってるわかってるー」
「ちょっと待てこら――うあ、ひっ、ぃ」


 背後から伸びた手が乳首をキュッと摘まんだ。声が出たのはアレだ、ビックリしたからだ。二回目以降の刺激でも声を止められないのは、……言い訳できない。


「おい、セト……っなんの、マネ、っぅ、ん、ぁあっ、く」
「シンタローさん乳首もかわいいっすね、想像通り」
「や、め――っカノ、ひ……っ、おま、も何を」
「ん? ゴカイチョウ、みーたーいーな」


 セトを制止しようと、胸でうごめく手に自分の手をかけた。だが下半身が寒くなって、直後セトを剥がそうとする力を抜いてしまった。ふざけた調子でカノは、剥き出しになったオレのオレを手で包む。


「まっ、やめ、や、ぁっ……カノ、っやめろ……っひ、ほん、とに、やめ……っぁ」
「うんうん、シンタロー君ちんこもかわいいね、想像通り」
「っひ、ぃい!? っめ、そこ……っぁ、あ、なぞ、っちゃ――、っ」
「やっぱ最初はそっちの方が感じるんっすねー……」
「ふぁあっ! ぅく、ひ、セトも、……っなに、つよくは――ぁあ、っん、ん」


 拗ねた声でセトが乳首をグリグリ摘まんでくる。わりと痛い、のに、他の感覚もあって怖い。
 背中にセトの体温を感じる。首筋にかかる息にぞくぞくする。オレを扱うカノは乱暴なような力強いような感じがして、ギャップが激しい。
 他でもない二人に上と下を同時に弄られ、何も考えられなくなりそうだった。


「――ぁ、ひ、ぁ……っあ、イく、――っちゃう、から、やめ、っ」
「何でそこでやめなきゃいけないのさ」
「そこじゃなくてもやめないっすけどね」


 二人が手の動きを激しくする。乳首が強く引っ張られて胸の芯が疼いた。亀頭に爪を立てられて、ソコから腰まで痺れが走る。


「っぅ、あ……っぁひ、ぃ、――あぁぁああっ!」


 手が激しくなってから十秒ほどでイってしまった。同時に刺激が止み、頭がゆるやかに正常に戻っていく――


「ぐ、っぁ……?」


 と思ったら後ろの穴に何か入り込んできて、頭がまた何も考えられなくなる。


「うーん、やっぱきついね」
「ひ、っひ、いた、ぁ……っんぁ、あ、いたい、ったぁ、あ」
「シンタローさん、落ち着いて」


 顎を掴まれ横を向かされる。セトに口を塞がれた。セトのもう片方の腕は相変わらずオレを支えていて、オレはその腕にすがった。カノが「ずるーい!」と叫んだ。同時に尻穴の異物感が増す。


「っんん! んん、ぅ……っふ」
「すぐにシンタロー君のいいとこ見つけてやるんだから」
「乱暴はダメっすからね」
「わかってるって」
「……や、っぅう――ひゃ、へん、っなかんじ……ひぁ」


 ぐいぐいとナカを掻き分けられる感触に涙が出た。セトに舐めとられる。
 ただでさえ圧迫がすごいのに、カノは指を二本に増やしてきた。入り口を広げられる、痺れのような感覚にまた声が出る。


「なかなか見つかんないなー……」
「ぁあっひ、や……ふ、ぃっ! ――っぁ、あっひぁ、ぁぁああっ!?」
「……と言ってみたら見つかった」
「なん、だ、今の、――っん、ぁあっ! んあっぁ、か、の……や、ソコ、っん……なんか、いや、だ」


 嫌だ、と言ったのにカノは同じ場所を弄る。しかもまた指を増やした。セトが「俺の相手も」と胸を弄り出すが、カノが指を抜いたら止めた。
 四つん這いへと体勢を変えられる。いつの間にやら露になっていたセトの一物に泣きたくなる。何だこのデカさ。口を開けてと言われた通りにすると、その一物を突っ込まれた。


「んん!? む、ぁ……っん、ふ、ぅ……っ」
「……っシンタローさん、口ん中、あっつ……」


 口を勢いよく出入りする性器にえずきかける。堪えていると尻穴に熱いものがあてがわれた。ソレは指の時のようにナカを掻き分けて入ってくる。


「んぐっん、んーっ、ふ、ん、っ」
「ちょっと、セト、シンタロー君の声、聞こえない、んだけど!」
「いいじゃないっすか先に挿れられたんだから! ――っあ、すみませんシンタローさん、出します……っ」
「ん――ひぅっ! っは、――むり、イく――……ひぁああっああ!」
「え、わっ……」


 そうしたかったのか良心なのか、セトはオレの口から性器を抜いて、精液を吐き出した。こっちもそろそろ限界だったから達してしまう。釣られるようにカノも達した。尻穴からずちゅりと性器が抜ける。


「これじゃあ僕早漏みたいじゃん、やだなあ」
「言うほど早くはなかったっすよードンマイっす」
「フォローどうも」


 結局コイツらは何でこんなことをしたんだろう。尋ねたかったのだが体がだるい。頭と瞼が重い。二人が話しかけてきているのは分かるのだが何て言ってるのか分からない。聞き取ろうとするうちに、オレは目を閉じてしまった。



* * *



「体どう?」
「重い」
「気分はどうっすか?」
「重い。……何ソワソワしてんだ」


 目覚めた瞬間には状況を理解していた。心配をしてくる二人に「ならヤんなよ」と言いたくてたまらない。ソワソワしているのは本当にどうしてだろう。怒られるのが怖いのだろうか。ぶっちゃけ怒る気力がない。それに、ふしぎと、嫌悪感や怒りがない。疲れているからだろうか。
 同時に名前を呼ばれる。二人の目を見ることで応えると、身を乗り出してきた。


「俺とカノ、どっちがよかったっすか!?」
「は?」
「いやね、より気持ちよかった方と付き合ってもらおうと思って」
「へ?」
「ヤる前にも言ったじゃないっすか。俺とカノ、どっちがいいか選べないみたいだから手伝うって」


 なるほど。つまり、コイツらはオレより先にオレの気持ちに気付いていた。で、二人ともオレが好きだから、選んでもらおうと。


「ふっざけんなよ……先にちゃんと説明しろよ……」
「えっ説明したらヤらせてくれたの」


 当たり前だろ好きなんだから。


「どっちがいいとか知るか。どっちもどっちだ。決められるか」
「……じゃあ、三人で付き合うっすか。俺はカノといちゃついたりしないっすけど」
「当たり前でしょ気持ち悪いこと言わないでよ。……ま、三人で付き合うのはいいよ。独り占めがよかったけど仕方ない」


 シンタロー君は? と聞かれて、勝手にしろと答える。不純極まりないし倫理に反しすぎているのに了承してしまった。起き抜けで頭が回っていない。


 ここから三人一組のお付き合いが始まった。どちらかを選ぶ時が来ないことを願うオレは多分、かなりズルい。だが二人も納得しているのだからと言い訳する。


「シンタローさん、お茶淹れたっすよー!」
「あ、それキサラギちゃんのおみやげ? 僕も食べる」
「……せっま」


 二人がけのソファに座っていたら、セトとカノが両隣を埋める。
 何だかんだ楽しいし、幸せだから、まあいいか、な。





END.









* * *
というわけでセトシンカノのR18、でした!
久しぶりにカゲプロを書いたからかたまにセトの口調が変な気が。
リクエストありがとうございました!

 

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