未来への希望

□失ったもの
5ページ/5ページ



どこか楽しそうに
それでいて急ぐように走っていた彼は、突然聞こえた鳴き声に足を止めた。

止まったところは丁度、壁の一部がガラス張りになっているところだった。
部屋の中がよく見渡せるような作りになっている。

その部屋は新生児を寝かせる部屋だった。
以前、一人目のガキが出来た時に訪れたことがあったから知っていた。

その部屋のガラス越しの中にある保育器を通して、俺は泣き叫んでいる者の姿を確認できた。


「・・・・ん?」

腕をあげて泣き叫んでいる一人のガキ。

そいつを見て、俺は思い出した。

そして再び、脳裏にあの夢が過った。


「うっ・・・ぐ」


とてつもなく大きな光が惑星を貫ぬいた直後、無数の光にいとも簡単に抉られていくこの星の地。
あっという間に光に飲み込まれて、内部から爆発し、最後には消えてしまう。


「・・・・ッうぅ」

頭を振り払うように動かすと、顔を上げ前を睨みつける。


先に見えるのは、ガキの名が書いてあるネームプレート。


夢と酷似しているこのガキは、俺のガキに違いない。


「カカ・・・ロット」


俺は初めてガキの名前を知った。


直後に確かめるようにスカウターでそのガキの数値を図った。


あの夢を見たところ、このガキは後にフリーザと対峙する。
ならば、戦闘能力はそれなりにあるはずだった。

だが


「戦闘力・・・たったの2か、くそっ!!」


完全な期待はずれだった。
舌打ちをし、悪態をつく。


やはりあの夢は間違っている
そう思うと、俺の関心は既にガキから惑星ミートへ逆戻りしていた。


いつのまにか泣き止んだガキを見るのを止め、俺は再び惑星ミートへ行くために走り始めた。
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ