ユグドラ・ユニオン

□君に捧ぐ鎮魂歌
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「ん……。」

日もすっかり沈み、誰もが寝静まった頃…。
ユグドラはふと目を覚ました。
今だ重たい体をゆっくりと起こす。

「今…何か……。」

ユグドラは瞳を閉じ、神経を耳に集中させた。

僅かに、聞き覚えのない旋律が聞こえた。


誰が歌っているのだろう…?

傍にあった毛布を身に包み、テントから外に出た。


今日は綺麗な満月がよく見える。

旋律が聞こえてくる場所を辿ると、満月に向かうように座るミラノが夜空を見上げていた。

どうやら歌っているのは彼らしい。
ユグドラがすぐ後ろまでそろそろと近付いていく。

そこでミラノは歌うのを止めた。
そして、後ろを振り向く。

「ユグドラか…。」

「あ、ごめんなさい。なんか歌が聞こえたから……。」

オロオロするユグドラにミラノは思わず苦笑する。

「別に聞かれて困るわけじゃねぇから、安心しな。」

「あ、はい……。」

落ち着いたユグドラはミラノのとなりに腰かけた。

「さっきの歌、いい曲ですね。なんの歌なんですか…?」

「んー……。」

いきなり核心か…。
そう思いながら、再び月を眺めた。
そして、少し間を開け、話し始めた。

「よく、キリエが歌っていたんだ。」


………

「それ、なんの歌なんだ?ずっと歌いっ放しじゃねーか。」

「ウチのお気に入りだよ。」

「それじゃ、わかんねーって。」

「ミラノはわかんなくていーの!!」

「なんだそりゃ!?」



もう君は歌えない


「そりゃ…いつか気付いてくれると嬉しいけどさ///」


そうして照れることも、笑うこともないんだ…


「???」


そう思うと胸が締め付けられるように痛い……。


「この歌を歌うとさ…。なんだか、キリエが傍にいるような気がするんだ。」

「ミラノさん……。」

ユグドラは今にも泣きそうな表情でミラノを見た。
そんなユグドラの頭にミラノは自分の手をポンと置いた。
そして、笑ってみせる。

「そんな顔すんなって。」

「そう…ですね。」

一番辛いのは…
と言いかけて、飲み込んだ。

言えば、きっと涙が止まらない。

私も、ミラノさんも……。


「オレ、もう少しここにいる。お前はもう休め。」

「でも、毛布無しで寒くないですか?」

今日はいつもより少し風が冷たい。
そんな中、ずっとこの場所にいたのだろう。
ミラノの体は冷えていた。

「大丈夫だって。本当にもう少ししたら休む。」

「わかりました。じゃあ、お休みなさい。」

「ああ。おやすみ。」

ユグドラは深々と頭を下げると、自分のテントへと戻って行った。


その後ろで、再びミラノは歌っていた。





-END-

…ミラキリ前提ミラユグ。
よくあるネタをここで使ったぜブラザー。(誰だよ)

ミラノが歌うとか正直想像つきませんが(酷)
書けてよかったです。

フリーですので、ご自由にお持ち帰り下さいませ。
ちなみに二次加工・盗作禁止です。

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