ユグドラ・ユニオン

□ある特別な日
1ページ/1ページ

ヴァーレンヒルズでの戦いから数カ月。

時の流れの早さに正直驚く。


街を歩いていたロズウェルは、自分の横を通り過ぎる少女達の話を偶然耳にした。

少女達は皆笑顔で、綺麗にラッピングされた包みを抱えていた。


今日はバレンタインデー。
女性が好きな男性にチョコレートという菓子を贈る特別な日…。

…ということらしい。
たくさんすれ違った少女達の会話で、これだけの情報を手に入れた。


それにしても、このバレンタインという日はそんなに特別なのか?

ロズウェルはいつの間にか人気のない橋を歩いていた。
橋の上から、綺麗に澄んだ川を見つめる。


そうしてしばらくその流れを見ていると、頭に軽く何かがこつんと当てられた。

「何やってんのよ、バカ総帥。」

後ろにはロザリィが立っていた。
ロザリィは上げていた手を下ろした。

「ロザリィか…。何用だ?」

そのロズウェルの言葉に不機嫌そうな顔になったロザリィがハァッと溜め息をついた。

「あんまり帰りが遅いから、迎えに来たんじゃない。皆心配してるわよ。」

「そうか、それはすまなかったな…。」

ロズウェルはもたれ掛かっていた橋から離れ、歩こうとした瞬間…

「それから、コレ!!」

ロザリィから赤い箱を差し出された。
白いリボンで丁寧にラッピングが施されていた。

しばらく唖然とした表情で、これを見ていたロズウェルはゆっくりとその箱に手を添えた。

すぐ後にロザリィが箱から手を離したため、うっかり落としそうになる。

ロザリィはロズウェルに背を向ける。

「い…言っとくけど、義理だからね、義理!!それ以上でも、それ以下でもないからっ!!」

そう言った後、ロザリィはロズウェルをおいてスタスタと早足で歩き始めた。


今日はバレンタインデー
女性が好きな男性にチョコレートを贈る


特別な日……



ロズウェルは静かに笑うと、ズンズン先へ進むロザリィの背中を見つめ、「ありがとう」と呟いた。





………

初ロズロザ文でした。

ロザリィがツンデレすぎる…。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ